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何が起こっているのか理解が出来なかった
先程まで彼は倒れていた
そして目の前にいるのも彼だ
「お前が守る?何だあ、ヒーロー気取りかあ?」
―――――
「消えろよ。」
「え……」
首に勾玉のネックレスをつけた彼は呟く
「何度も言わせんな。消えろって言ってんだよ。毎日毎日朝からビービー泣き喚いていて恥ずかしくないのか?」
『今の言葉、撤回しなさいよ!』
「あぁ?」
「なまえちゃん……?」
こちらに睨みをきかし彼を罵倒しているのはおじいちゃんのもう1人の弟子である獪岳だ。
『撤回しなさいって言ってるの』
「よく、お前もこんな奴に付き合ってられるな、女に守られる男が剣士だ?笑わせんじゃねえ」
『善逸くんはあなたみたいに弱くないわ』
「何……?」
私の言葉にさらに睨みをきかす彼に善逸は「もういいよ、俺が悪いんだ」
と話しているが何も良くない
『善逸くんはあなたみたいに人を傷つけるようなことは言わない。誰かの為に強くなろうと必死に頑張れる人よ』
そう言い返せば腹を立てたのかこちらに近付いて、胸ぐらを掴まれた
それでも怯まず睨み続ければ飽きたのか手を離し背を向け歩き始めた
「なまえちゃん大丈夫?ごめんね、俺が弱いせいだ、本当にごめんね、どこか怪我してない?歩ける?大丈夫?」
今にも泣きそうな彼の手は豆だらけで血が滲んでいた
『大丈夫だよ』
彼は頑張っている。
そんな人をあんな風に言うなんて許せないのだ。
「俺、もっと強くなるよ。そしていつか……」
なまえちゃんを守れるくらいに強くなる
――――――
あの時、助けてくれたのもいつも守ってくれていたのは彼女だ。
そう、だから次は……
「雷の呼吸……壱ノ型―――霹靂一閃」
彼の姿は光と共に一瞬で消え、気付けば鬼の首は落ちていた
「ばかな、ばかな……!この俺が……この俺が……!!!」
鬼は最後に言葉を残し、灰となり消えた
それと同時に彼の目が覚めた
「あれ?!鬼は?!?!?!も、もしかして……なまえちゃん??!ごめんねえええ!怪我してたのに!!!他に痛いとこはない?!大丈夫??俺何してたんだよおお!」
ど、どういうこと?
『鬼を倒したのは善逸くんだよ?』
そう伝えても「そんなわけないよ!俺弱いから!!」の
一点張りだ
意識がないまま鬼を倒したというのか?
そんな事が……
しかし、目の前にいるのはいつもの泣き虫な彼だ
何が起きたのか分からないまま私と彼は目的地に向かい歩き始めた
そして……
『つ、いた……』
目の前に広がる一面の藤の花
ここがゴールだと教えてくれているようだ
「良かったよおお、なまえちゃんのおかげだあ!本当にありがとう!!!!!!」
『わ、分かったからちょっと落ち着いて……』
そう、周りの視線が痛いのだ
あれ……
始まりの時より少ない……?
そう周りを見ればいるのは私たちを含め5人だ
ここで改めてこの試験の厳しさを知った
「なまえちゃん大丈夫?不安な音がする。腕痛い?痛いよね?」
彼は眉を八の字にしてこちらを見つめてきた
『痛みは落ち着いてきたから大丈夫だよ』
できる限り安心させるかのように笑顔で言えばいつもの彼に戻った
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