5話
コンコン、と控えめな音が小さく部屋に響いた
「誰だろ、風」
ポツリと部屋でなまえが風に呟くように話しかけた。意味がわからないのか、答える気がないのか、さあ?と窓を見たまま答えた。
「そ、」
相槌を返しガチャ、と扉を小さく開けて顔を出せば初日に見た赤い制服の子が目に入った。
「あれ?キミは…」
えっと、と首を傾げて名前を思い出そうと頑張るが、彼の名前を聞いていないことに気がついた。
「………」
「………」
何故か沈黙が起こり居心地の悪い空気が二人の間に流れた。十代は険しい顔をし天井を見上げながらあ゛ーやらう゛ーなど言葉を探すように唸っていた。
名前を聞くだけなのになんでこんなに言葉が詰まるかな…なんていうか、この人苦手だ…と少し困った表情で眉を下げごめんなさい、と一言。
「あの、名前を教えてもらってもいいですか…?」
「っうえ!?」
「いや、名前を……聞いてない、な…って……」
顔を心なしか青くした彼に何か悪いことした気分になってきた。しかし名前を聞かなければ会話の間が保てないため、ぼんやりと先程まで存在した風のいた場所を見ていた
「………っ――ゆ…遊城十代…」
「そっか、遊城くん…ってあれ?十代くんってキミのことだったんだ」
「へ?なんのことだ?」
なんで知ってるんだ?と首をかしげる十代に万丈目くんが、となまえが口にすれば今にも扉から出ていこうとするので慌てて制止をかける。
「十代くん!用事は!?」
「あ…忘れてた!」
やっぱり、と苦笑いしてからなまえはなまえの他に使用してない3段ベッドの一番下に腰かける。
「あ――…っと…なまえさ今日の夜、万丈目の部屋に集合」
俺が呼びに来るから、って言ってもこの真下なんだけどな
「…は、はい了解、です」
いまいち分からないという顔を隠さずに、髪をくしゃっと触る十代に頷きを返す
(万丈目、って朝の奴?)
(そうだね。って風どこいってたの?)
(ちょっとそこまで)
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