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 手当が終わる頃には夜も更け、そろそろ日付けが変わろうとしている。どうやら他の所にも復讐者の闇討ちはあったらしく、父の元に訪れた復讐者の攻撃を母が食らいそうになってしまったらしい。父は身を挺して守ったが、それを見た母は気を失ってしまい先程病院に運ばれたと連絡があった。命に別条はないという父からの連絡にわたしはほっと息をつく。またいつ闇討ちが行われるかわからないので、わたしはそのままヴァリアーの所に残ることになった。

「まじなの、スク隊長?!」

 包帯巻きにされ、ベッドで横になるルッスーリアが声を荒らげた。

「ったりめーだ!一度時計を壊された奴が、余った時計を着けて戦っちゃいけねーなんてルールはねえ!だったら幹部で一番強くて、元気なオレがカムバーック!」

「なによ無理しちゃって……ボロボロの癖に」

「しししっ、結局なまえもバトラーウォッチ着けてるし」

「人が居ないんだから仕方ないでしょう」

 ザンザスさんはあまり良い顔をしなかったが、やむを得ないだろう。何せ三人も重傷者がいるのだ。

「おのれバミューダァ!」

「これもうヴァリアー的に大損害じゃね?なんか手は打ってあんのか、マーモン?」

 ベルのその言葉にマーモンはムッと声を漏らす。

「色々やってるよ!僕は最善を尽くしているさ!今だって……」

「マーモン」

 だがそれを遮る様にザンザスさんの声が遠くから聞こえた。マーモンはびくりと肩を揺らし彼の方に振り返る。

「悪かねぇ」

「え?」

「かっ消すドカスが増えただけだ」

 そう言うと彼は瞼を閉じた。だが時計の短針が12時を指した瞬間、時計からあのアラーム音が鳴り響いた。

「何これマジなの?!」

「一睡もしてないわよ!」

「傷治んねーっての!」

「何を考えているんだ!こんな日程ありえないよ!拷問じゃないか!」

 鳴ったと同時に一斉に騒ぎ出す。わたしは静かに匣兵器に触れた。時計からはカウントダウンが鳴り続いている。

「狼狽えんじゃねぇ、マーモン!ボスさんを見習え!」

 スクアーロさんの言葉に全員がザンザスさんの方に視線を向ける。先程瞼を閉じたザンザスさんはそのまま眠っている様だった。

「寝ている!」

「聞こえてないだけじゃない?!」

「すごく疲れてるだよ」

「戦いたくねーから死んだフリかも!」

 その言葉にスクアーロさんは声を荒らげた。

「う"ぉ"ぉい!オレが言いてぇのは動じてねぇって事だぁ!!なまえを見習え!」

 するとあの第八属性の炎の気配がしたかと思うと、再び復讐者はわたし達の目の前に現れた。

「この炎!また奴だ!」

「激ヤバ!オレ達戦えねーし、代理はボスと隊長となまえしかいないじゃん」

「しかも一人だけでも半端ない復讐者か……三人もいる!」

 その瞬間、時計から戦闘開始の音が鳴った。
 わたし達はすぐにリングに炎を灯し、匣兵器を開く。アンバーは強く咆哮しながら復讐者に威嚇をし、フリージアは雲の炎を纏いながらわたしの周りを飛び回った。

「なまえ、いつの間にあんな大きな炎を」

 遠くでルッスーリアが呟いた気がした。修行をしているのは何も綱吉達だけでは無い。時間の合間を縫って、わたしだってやれる事はやってきた。フリージアとのカンビオ・フォルマをすると、銃には羽が生えた。
 ザンザスさんと共に復讐者に攻撃を放つ。だがザンザスさんも先程の戦闘でエネルギーを消耗して中々本気が出せていない様子であった。マーモンが樹海を解き、元の姿に戻ると頭の中で彼の声が響いた。

「なまえ、気配を消して。一度しか使えないだろうけどこのまま戦うのは不味い。あいつらの目を欺く」

 言われた通りにわたしはみんなとアイコンタクトを取ると気配を殺した。その瞬間視界はぐにゃりと傾き、辺りに霧が立ち込めると復讐者は姿を消した。
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