12

 スクアーロさんが戦いに敗れ亡くなった。
 そう聞かされたのは次の日の昼頃、キッチンに向うとリビングルームにザンザスさんにレヴィさん、それにベルまで揃っていたので飲み物を追加するか伺った時にベルから教えて貰った。

「……そう……。スクアーロさんが……」

 ちらりとザンザスさんに視線を向けられたが、何となく冷たく感じたので何も言わずにキッチンに戻りベルに頼まれたカフェラテを作る。
 トントン、とリビングルームの扉が軽く鳴った。

「ボス。許可を貰いに来たんだ。あの力を今晩の争奪戦で使いたい」

「ふーん、やる気満々じゃんマーモン」

「なぜそこまでする。スクアーロが負けたと言っても勝負は3勝2敗。オレ達には有利すぎるほど有利」

 どうやら今晩はマーモンさんが戦う様だ。
 話は終わったらしくマーモンさんはそのままキッチンの方へと向かってくると、僕にも同じものを と言ってきたので、もう一つカフェラテを作った。



 ベルに渡した後、マーモンさんと一緒にキッチン側にあるダイニングセットに腰掛けた。

「マーモンさん、ザンザスさんの後ろにいるのは何方でしょうか?初めて見掛けたのですが……」

「あれは気にしなくていいさ」

 人というよりもロボットの様な形状をしている其れはモスカさんと言うらしい。無言でザンザスさんの後ろに佇むその姿は何処か剣呑な雰囲気を感じられて、ずっと見ているのが怖くなった。

「そういえばマーモンさんの頭にいつも乗っているこの子は蛙……ですか?」

「ファンタズマの事かい?」

 どうやらこの子はファンタズマと言うらしい。リボーンといい、彼等は相棒の様な動物と共に行動することが定石なのだろうか。ファンタズマは大人しく常にマーモンさんの頭の上についていた。

「ご馳走様」

「今晩、マーモンさんなんですよね」

 死なないでください そう言うのは失礼な気がしたし、頑張ってください も可笑しいと思ったので何も言えなかったが、彼はそれを理解したかの様に、素直に相手を応援しておきな と言いキッチンから出ていった。
 情が湧いてきていることにはとっくに気付いていた。







「クハハハハ!どうですか?僕の世界は!!」

 壁も床も何もかも落ちていく。骸が骸の形をしなくなり、細く長くなっていくとバイパーの口からどんどん吸い込まれる様に身体の中へと入っていく。

「ムムム!やめろ!死ぬ!死ぬ〜〜!!」

「君の敗因はただ一つ。僕が相手だった事です。」

 ギャッ! という音と共にバイパーは飛び散り、そしてバイパー以外は何もかも、元通りになった。

「これで……良いですか?」

「……。霧のリングはクローム髑髏のものとなりましたので、この勝負の勝者はクローム髑髏とします」

「あのバイパーが……」

「粉々かよ」

 そこまでしなくても! と言うツナに骸は呆れた様子だったが、どうやらバイパーは最後の最後で逃走したらしい。

「ゴーラ・モスカ。争奪戦後、マーモンを消せ」

 応えるかのようにモスカは煙を吐き出した。

「全く君はマフィアの闇そのものですね、ザンザス。

君の考えている恐ろしい企てには、僕すら畏怖の念を感じますよ」

 それに反応したのはXANXUSだけではなくリボーンもだった。骸は何を知っているのだ……?

「なに。その話に首突っ込むつもりはありませんよ。僕はいい人間ではありませんからね。

ただ二つ……、君より小さく弱いもう一人の後継者候補を余り弄ばない方がいい」

「…………。」

「それと彼女を再びマフィア界に近付けるのはやめて頂きたい」

 そ、それって…… と呟いたのはツナだったが、恐らく彼女とはなまえの事だろう。何故骸がなまえの事を知っているのか。再びとはどういう事なのか。ツナは分からなかったが、リボーンは何かを知っている様だった。
 骸はなまえと出会っていたのだろうか?確かに関わりがあっても可笑しくないとリボーンは考えていたが、上から報告は受けていない。それに先日の並中生が狙われた事件の時もなまえは巻き込まれていないはずだ。

「骸様!」

「すんげーー!やっぱりつえー!」

「てんめー!どの面下げて来やがった!!」

 千種と犬が骸に駆け寄る中、獄寺はダイナマイトを構える。

「おい!獄寺!」

「それくらい警戒した方がいいでしょうねえ、僕もマフィアと馴れ合うつもりはない」

「!」

「僕が霧の守護者になったのは、君の体を乗っ取るのに都合がいいからですよ、沢田綱吉」

「やはりてめーっ!」

「あっ、ちょっと待って、獄寺くん!!」

「?!」

「と、とりあえず……ありがとう」

「クフフ……。少々疲れました……、この娘を……」

 そう言い骸は骸では無くなり、クローム髑髏に姿が戻るとドサッと床に倒れ込んだ。
 骸とクローム髑髏、二人は互いの存続の為に成り立っている関係性だ。千種と犬にとって彼女は大切なのには違いないが骸ではない。起きれば自分で歩けるだろう といい、彼女を置いていってしまった。

「明日はいよいよ争奪戦、守護者対決最後のカード。雲の守護者の対決です」

「ヒバリの出番だな」

「おいザンザス、どうするんだ?次に雲雀が勝てばリング数の上では4対3となり、既にお前が大空のリングを手に入れてるとはいえ、ツナ達の勝利は決定するぞ」

「そういやあ……」

「その時は約束通り負けを認め、後継者としての全ての権利を放棄するんだろうな」

「当たり前だ、ボンゴレの精神を尊重し、決闘の約束は守る。雲の対決でモスカが負けるような事があれば、全てをてめえらにくれてやる」

 ツナ達は雲雀が負けるとは到底思えなかったが、あのXANXUSが言い切るということはモスカが絶対に勝つという自信があるからだろう。
 骸が言っていた事も気掛かりである。何を企んでいるのかリボーンは計り兼ねていた。
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