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「あれは怒りだぁ……」突然モニター越しから聞こえる声。この声は間違える筈も無い、スクアーロさんだ。彼も生きていたなんて……。
「その怒りこそがお前の野望を現実にする力だ。その怒りにオレは憧れついてきた」
沸き上がる怒り。モニター越しでもその凄まじさは感じられた。先程とは比べ物にならない程、炎を増幅させたザンザスさん。それに対峙する綱吉も正面から受けて立つつもりの様でお互いの炎は校庭一面に広がる。体育館越しからも煙が見える程だった。
「誰かいるぜ!コラ!」
「ザンザス!……そ、そんな……!」
「当然の結果だぁ」
「そう慌てるな。奴の手を見ろ」
リボーンの声に弾かれる様にザンザスさんの手を見た。そこに写されていたのは氷。どうやらこれが本物の零地点突破の様だ。
体育館ではベルとマーモンさん、獄寺くんに山本くん、そしてクローム髑髏と呼ばれる綱吉側の霧の守護者である女の子とリングを巡って争っていたが、マーモンさんの幻術によって獄寺くんと山本くんは窮地に追い込まれてしまう。
遠くから誰かが走ってくる気配がした、意気込むように大きく息を吸い込んだ後、マキシマムキャノン!と声が響いた瞬間、目の前の体育館が瓦礫の山と化した。
「え……?」
「一体何だ?体育館ごと吹っ飛んでる……」
「まさか今の一撃って……!」
「まどろっこしいのは嫌いでな」
現れたのは笹川くんだった。彼があの一撃を放ったなんて信じられなかった。笹川くんはわたしの方に近寄り怪我は無いかとか、ヴァリアーに何かされていないかとか沢山心配してくれた。
「ありがとう笹川くん、大丈夫よ。獄寺くんも山本くんも心配してくれてありがとう。綱吉を、よろしくね」
「必ずなまえも助ける」
「ありがとう笹川くん」
クローム髑髏さんを連れて彼等は校庭に向かって行った。
「何故だ!有り得ん!お前みたいなカスにボンゴレの奥義など……!」
「その傷……。お前が前にも全身に零地点突破を受けた証拠」
「なに?!」
「もうお前の拳に炎が灯されることはない……。お前の負けだザンザス」
腕に嵌めた小型モニターに写る二人。ザンザスさんの両拳は綱吉によって炎を凍らされてしまった。
「無駄だザンザス、これ以上なるのなら……。九代目に付けられたその傷では済まないぞ」
「!!」
ザンザスさんのあの古傷はお爺様に付けられたものだと言うのか……?何故、どうして。そんな言葉しか頭の中には浮かんで来ない。
「黙れ!!オレは名にXの称号を二つ持つ男、XANXUS!!!」
過去に同じ言葉を聞いた気がした。自分の中で何処か確信めいていた。何故わたしは昔の事を覚えていないのか!これ程もどかしく感じた事は無い。理由は分からないが今すぐにでも彼の傍に駆け寄りたくなった。
「てめー如きに屈すると思うか!勝つのはオレだ!!ボンゴレ十代目は!このオレだ!!」
走り寄るザンザスさんに綱吉は瞬く間に彼を氷で包んでいく。ザンザスさんの悲痛な叫びに心が裂ける思いだった。
「何故だ……何でお前は……」
「うるせえ!!!老いぼれと同じ事をほざくな!!」
声が無くなる。全身を氷で覆われた証拠だった。あの氷は死ぬ気の炎の逆の力を持った負の圧縮エネルギーだそうで、溶けることは無いのだと言う。そんな、そしたらザンザスさんは……。
「さあ話してもらうぞスクアーロ。八年前の揺りかごであった事を……」
「お前らの想像通りだ。九代目に奴は凍らされた……それだけだ」
彼はそう言うがきっとそれだけでないことは明白だった。
「う"お"ぉい!!オレをここから出せぇ!!」
「それはなりません。規定の勝敗条件を満たしておりませんので」
そうだ。この大空戦はボンゴレリングを全てを手に入れる事が勝利条件。ザンザスさんが例え氷漬けになったとしてもボンゴレリングを全て綱吉が手に入れない限り勝利は決定しないのだ。
だが綱吉の気力と体力は既に限界に達していた。
その隙を狙うかの様にマーモンさんが創り出した幻覚で綱吉を惑わそうとするが超直感を持つ綱吉に幻術は効かなかった。
「無駄だ、ザンザスは眠りについた……」
「それはどうかな?寧ろボスが次期ボンゴレの後継者になる為の儀式の準備が整ったのさ」
「……?」
「ボスは再び復活する」
マーモンさんが広げた掌には大空以外全てのボンゴレリングが集まっていた。