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 寝るまでの支度が全て終わる頃には時計の短針は十二を過ぎていた。
 明日からまた学校が始まる為、早めに寝たいところだが、ふとした瞬間に思い出すのは昼間の出来事。情報を逃さぬよう周りに気を配っていてあの時は必死だったが、あんなに沢山の赤を見ることは初めてだった。
 ……本当に初めてだろうか?
 昼間から、何処か記憶が曖昧になるような瞬間があったが、果たして自分は過去にあのような多量の血を見るような出来事があっただろうか。
 ボンゴレファミリーやボンゴレリング、死ぬ気の炎という言葉もそうだ。聞き覚えはほぼ無いに等しいのだがどこか断言出来ない。
 わたしには幼少期の記憶があまり無い。父に連れられこの家に来た頃からは覚えているのだが、それ以前の記憶がぼんやりしているのだ。昼間の出来事を思い出す度に感じるこのモヤモヤとした感情は、もしかしたら記憶には無い幼少期の頃が関係しているのかもしれない。だがそれを確かめようにも母は知らないだろう。もしかしたら父は知っているのかもしれないが、教えてもらえるだろうか。

 父に尋ねてみるか思案している内に眠気は訪れ、夢の中に落ちていった。しかし数時間後に隣の部屋から突然父の声がして、起きる羽目になったのだが。



 翌朝、いつものように支度をしていると綱吉が起きてきたが、何やら朝から騒がしく再び二階へと戻っていってしまった。

「ツナは朝から忙しいなあ」

「お父さん」

「ん?どうしたなまえ」

「学校から戻ったら聞きたいことがあるんだけど」

「……おお!何でも父さんに聞いてくれ!帰ってきたらな」

「うん、いってきます」

 約束はしたが、答えてもらえるかどうかは別問題である。何から聞くべきかとその日の授業中はそんなことで頭が一杯だったが、帰宅した時には父はもう既に就寝しているという落ちにわたしはがっくりと項垂れた。







「う"お"ぉい!!奪い取ってきたぜぇ。ハーフボンゴレをなぁ!!」

 そう言いスクアーロはハーフボンゴレが入った箱を、ボス──ザンザスに手渡した。

「どうやら跳ね馬もあちら側に着いているみてぇだぜ」

 返事をしたのはザンザスでは無く、近くにいたモヒカンの男──ルッスーリアだった。

「あの追っていた坊やの味方って事かしら?」

「いや。あの餓鬼を追っていたら、噂の日本のガキに遭遇した。どうやらそいつと顔見知りみてえだが……」

 噂の日本の餓鬼。その言葉に反応したのはザンザスだった。僅かながら眉を寄せ、スクアーロを睨んでいる。

「まあでも、こうしてスクアーロがハーフボンゴレリングを持ち帰ってきたのだから、もう関係の無い話しよねぇ」

「面白そうな奴、いなかったワケ?スクアーロ」

 しししっ、と独特な笑い声を響かせた青年──ベルフェゴールはハーフボンゴレリングよりも、自分の退屈しのぎになりそうな人が居ないかどうか気になっていたようだった。

「どいつもこいつも脆弱そうな奴ばっかだったぜぇ。女子供もいたしな」

「なぁんだ、つまんねえの」

「少し離れた場所でボルサリーノを被った小さい赤ん坊と、黒髪で琥珀色の目をした女はこっちを睨んでいたけどなあ」

 それに反応したのはまたもやザンザスと、ベルフェゴールの隣に座っていたフードを被った赤ん坊──マーモンだった。

「その小さな赤ん坊には心当たりがあるね」

「マーモンが言うなって」

「五月蝿いよ、ベル」

 箱を開け中身を取り出し、ハーフボンゴレリング同士を組み合わせ再び指に嵌めると、口ピアスの男──レヴィ・ア・タンが「このリングはやはりボスが一番お似合いです」と目を輝かせた。

 暫くして、スクアーロが持ち帰ったハーフボンゴレリングがフェイクだと分かり、ザンザスは先程話題に上がった黒髪で琥珀色の目を持つ女を連れて来いと命令するのだった。
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