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「ついでにツナのファミリーも紹介するぞ」

 そう言ったのはリボーンだった。リング争奪戦後、わたしと綱吉は気まずい雰囲気のまま何日も過ごした。彼は怒っている、理由は分かっていた。
 このままではいけないと、つい昨夜素直な気持ちを打ち明けると、まだ納得はしていない様子だったが彼は受け入れてくれた。だがそれでも良いと思った。彼が納得し切れないのはザンザスさんを信用出来ない事とわたしへの心配によるものだと分かっていたから。これから納得して貰えるように努力すればいいだけの事。

 一緒に食事をする事を約束したが、ついでと言ってリボーンは綱吉の守護者達も呼び付けた。勿論面子は分かりきっている。黒曜中の彼女は来れなかった様だった。

「山本さん、わざわざ竹寿司を空けてくださってありがとうございます」

「良いって事よ!今日は思う存分食べていってくれな」

 竹寿司に来たのは久しかった。わざわざ貸切にする必要は有るのだろうかと思ったが、どうやらその理由は彼の存在にある様だ。

「雲雀くん、良く此処に来たね」

「仕方なくね」

 入口から一番遠くにいるが雲雀くんの姿も見える。彼がわざわざ来ると思って居なかったが、久々に会えた事にわたしは喜んだ。

「山本くんもありがとうね」

「大丈夫っすよ、親父ってば張り切っちゃって」

「竹寿司さんのお寿司は本当に美味しいから、沢山頂いちゃおうかしら」

「はい、是非!」

 わたしが知らなかったリング争奪戦の事を彼等は快く教えてくれた。短期間で皆が修行に励んだ事や、バジルさんと呼ばれる方やランチアさんという方の話まで。

「彼はお父さんの仲間だったのね」

「極限に良い奴であったな!」

「ちょっと日本に対して間違った解釈をしている様な気もするけど……」

 綱吉は呟いた。

「それにしてもこの一年で皆、沢山成長したのね」

「十代目の右腕になる為、当然の事をしただけです!」

「獄寺くんは綱吉の右腕なの?」

「ええ!まだまだ未熟者ですが」

「いやオレまだマフィアになるなんて……!!」

 綱吉はどうやらマフィアになるつもりは無いらしい。彼の性格からすれば当然だろうが、リング争奪戦に関わってしまった今、マフィアから完全に無関係でいる事は難しいだろう。彼がそれをちゃんと理解しているのかは定かでは無いが。

「ランボも守護者だったのは驚いたよ」

「ガハハハハ!ランボさんってば超強いんだぞ!」

「そうみたいね、大健闘だったって聞いたわよ。凄いわ、ランボ」

 ランボは嬉しそうに店内を駆け巡った。あんな小さな子供でも彼は雷の守護者としての才能を秘めている子らしく、十年バズーカを使用した十年後、二十年後の彼は圧倒的な強さを持っていたらしい。

「その十年バズーカって未来の自分と入れ替わるのよね?」

「うん。続けて十年バズーカを使用しても、最初に被弾してから五分で効果が切れるんだ」

「不思議な代物ね。悪い事に使われたらとんでもない事になりそうだわ」

「悪い事?」

「言ってしまえば十年後に飛んで数多にも広がった未来を知ることが出来るのよ、その記憶を持ち帰り例えば此処で実現しようと試みたら、先程体感した未来は無くなってしまうのよ。それって凄く怖い事だと思わない?」

「……つ、つまり?」

「此方のやり方次第で未来を良いようにも悪いようにも変えられるって事よ」

 綱吉はその恐ろしさを今一理解していない様だった。こればっかりは言葉だけじゃ分からないのかも知れない。ランボには正しい使い方をして欲しいものだと強く願った。

「真面目な話はこれくらいにして、お寿司食べようか」

 わたしは笹川くんや雲雀くんと昔の話をしたり、山本くんや獄寺くんと学校での話を聞いた。今まで教えて貰えなかったマフィアに関する彼等の事を知ることが出来た、とても大切な一日になった。
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