Dress up
「海賊の為のパーティ……?」
手のひらサイズの装飾が施されたメッセージカードを見て、思わず訝しげな声をあげれば、分かるよと言わんばかりに私の声に頷くウソップが隣に来る。
「どこぞの万博とは違って、海軍様の罠だと思うけど」
「よくぞ言ったラズア!俺もそう思う!」
「私もそう思ったけど、確かな情報よ。それに!開催されるゲームに勝ち残れば1億ベリー!!!」
ウソップを押しのけたナミが目の色変えてうっとりとした笑みを浮かべる。あぁ、そういう事か……。とは言っても私が反対した所で船長があの様子じゃぁね。それに食費がかさんでサンジが頭を抱えていたのを見てしまっているし、最近はお宝も取れていないとナミが吠えていたのも知ってる。
「飯!!豪華飯!食うぞ!!」
太陽のような笑顔でチョッパーと楽しそうにしている我らが船長に思わず笑う。
「1億ベリーかっ攫うしかないね」
「ラズアだけは俺の味方だと思っていたのに……」
「船の事情を考えたら仕方がない。それにルフィが行く気満々だし。そうだ、優勝出来たら前に言ってた新型モデル、機嫌いい時のナミに言っといてあげるよ?」
「よォし、キャプテンウソップ様がいれば優勝なんざ間違いなしだぜ!!!待ってろよ!!」
飯よりも優勝だと、ルフィに喝を入れに行ったウソップの背中に頑張って説得するからねと誓いを立てた。
「単純細胞だな、あいつらは」
カチャンという音と共に、オイルとそれからいつもの煙草の匂い。私の大好きな匂い。隣に立った彼の腕にそっと頭を預ければ流れるように腰を抱かれた。
「俺も人のこと言えねぇな」
「ん?」
「君のドレスアップする姿が見れるかと思うと心臓が破裂しそうだ。それと同時に誰にも見せずに閉じ込めたい気持ちまで出てきやがった」
そう言ったサンジの声は酷く優しくて、私の心臓の方が破裂してしまいそうだ。
「ふふ、本当に嬉しいことを言うのね。この後、ドレスを探しに行こうと思ってるの。見繕ってくれる?」
「あぁ、喜んでお供させてくれ」
跪いたサンジは私の手の甲にキスを落とす。あぁ、これ以上私をあなたに夢中にさせないで。