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「ほら、帰りますよ」
「桜華っ、早くー!」
幼馴染はいつもと変わらず私を待ってくれている。
誰かが欠けることは殆ど無い。
いつも一緒に帰る、私の大好きな時間。
かけがえの無い幼馴染二人との何気ない会話は常に私に居場所を与えてくれる。
ここにいていいよ、と教えてくれるようで。
「でねーヒムがさー」
「…隣の席のあいつか」
二人はお互いの主張がぶつかり合うとどうしても素直になれない。
だから私はそんな時に大丈夫だよと声を掛ける役目。
二人は律儀に桜華ありがとうって言ってくれる…いつも助けてもらっているのは私の方なのに。
「桜華?どうしたの?」
「…体調でも悪いのか?」
「ううん、何でもないよ」
ありふれたこの時間が大好き。二人が笑っているだけで私までつられて嬉しくなる。
「そっかー変な桜華!」
「早く家帰るか」
「いいよ…もう少しこのままでいようよ」
幼馴染の二人と過ごす…家に帰るまでのほんの僅かな時間。
…大切にしていきたい、いつまでもこんな幸せが続くように。"
02:43 やまだ "「あ」
部屋のカレンダーを新しい月の変えた時に、自分の文字で書かれた誕生日という文字。4月。春生まれは彼女しか居ない。僕らの中で、一番先に歳をとって置いて言ってしまう。別に歳をとったところで彼女が別人になるわけでは無いと分かっているけれど、どうしても置いてかれたと思うのは彼女の季節のせいでもあると思う。暖かく、柔らかな出会いの季節でもあり、寂しく冷たいけれど晴れやかな別れの季節。彼女の季節。明日の予定を確認し、大したものが入ってないことを確認して明日ショッピングモールに出かける予定を建てるのだった。今年は、何を渡そう。遠足前の子供のようなドキドキとした高揚感と彼女の喜ぶ顔が見たくてプレゼントを何にしようかという苦悩と共に今日を終える眠りにつくのだった。