18

「起きて、起きてよ立花!」
揺さぶられてぼんやりと目を開ける。
いつも起こしてくれる刀也の声がしないのが少しだけ気になった。
でもこんな時実は修学旅行だったとかよくあるから多分問題はないんだと…思いたい。
「今起きるよぉ…」
ゆっくり目を開く、見慣れた天井が見えて修学旅行ではないと安心するのと同時に理解出来なくなった。
「あ、え…?」
この子は誰なんだ?…ていうか私まだ寝ぼけてる?
「立花、早く行かないと遅れる!」
私の目の前には刀也に似た女の子がいる。
どうやら私を知っているのか…というか確実に知っているようで起こしに来るが私は彼女のことなんて決して知らない。
なんで自分の半身に似ている女の子を間近で見ないといけないんだ…
いや…これは夢だろ、夢のはずだ。
「…先に行っちゃうよ〜?」
ベットでうずくまってみても夢は覚める様子なく、ドッキリでもないらしい。
「こんなのって、ないよぅ…」
「立花、体調悪いの?」
とりあえず登校しよう、これは夢だ。
夢が覚めるときが来るはずだし…その時までこんな拷問のような、はぁ…。
耐えられるわけがない…SAN値が直葬されていくよ…。
「おはよー…」
適当に相槌を打ちながら何とか登校してみたものの割ときつかった。
ぎりぎり耐えられた私を褒めてほしい。
…まあ気を取り直して、女刀也が言うには私のクラスは2組らしいからここはもう思い切ってそのままいつもの席に座ることにした。
「黛!なんで座ってんだよ!」
「ヒムはよ」
後ろから声がした。私を呼ぶ声的に奴しかいないと振り向いてみる。
…はぁ〜なるほどね、そういうことね。完全に理解したわ。
「……悪い」
咄嗟に隣の席に移る。嫌だった懸念が現実になって一気に憂鬱になった。
「保健室行くから先生に言っといて」
なんでこうなったんだか。こんなの下手な悪夢よりもよっぽど質が悪い。
さっさと立ち去る私に驚いた顔を見せるヒムだけど特に追及してくることはなかった。
「…少し体調が悪くて」
仮眠するために保健室に足を運ぶ。
「黛くん、送ろうか?」
みんな背後を取るのがうまいことで。
慣れた声が聞こえてふいに嬉しくなる。
「んあ…桜華…?」
この流れじゃ桜華もきっと…そう思いながらも後ろを振り向く。
「桜華って…誰なの?」
「別にいいだろ誰だって、関係ないんだし」
つい冷たく当たってしまう。寂しそうに目を細めた目の前の人はそうだよね、なんて言って去っていった。
…ふと、感じないはずの罪悪感が芽生えた。
とっとと休みたい。これは現実じゃないとひたすらに信じているのだから。これ以上ここにいたらおかしくなりそうだ。
夢だから…だから酷い言葉も強く当たることも出来るのに。
そうじゃなかったら……。
ズカズカと保健室に入り込み布団で眠る。
こんな最悪な夢、早く覚めてくれ。