「っあー…」
つぅ…とこぼれ落ちる涙。思わずシーツを強く握って反省した。
結果は変わらず景色は同じ保健室のまま。
「私が、何したっていうんだよ…」
誰もいない保健室でこのままひとりごちる。
戻りたい、帰りたいのに。
…私は自分の居場所がここじゃないって解っているのに。
「どうすればいいんだよ…どうすればっ」
認めたくない。これを違和感だと感じなくなれば私はきっとおかしくなってしまうから。
何も信じられなくなるのは、もう嫌だとあれほど思ったのに。
「こんなの…いやぁ…」
涙がボロボロと零れる。年甲斐なく子供のように…とめどなく、溢れる。
ここには私を慰めてくれる人も咎めてくれる人も、叱ってくれる人もいない。
そうして泣いて、泣いて、泣きつかれて眠った。
揺れる感覚。キラキラと反射する水面に手を伸ばしても、届かない。
息がくるしい…ごぽごぽと口から泡が溢れていく。
────いやだ、おいていかないで
無理矢理意識が浮上する。何かに殴られたかのような強い衝撃。
「立花っ」
淡い意識の中で確かに私を呼ぶ声がした。
急に高熱を出して保健室に運ばれた立花。
早退すると聞いて僕もそのまま送り届けることにした。
久しぶりにおぶった立花の身体は酷く小さく、熱くなっていた。
急いで家に帰っても立花はその身体を震わせ、ずっと泣いていた。
…いっそ代わってやれたらいいのに。
ゆっくりと虚ろな目を開けた立花に駆け寄る。
多少僕らしくない、なんて言われてもしょうがない。
心配なのだ、この上なく。
こんな姿は今までで一度しか見たことがない。
だからこそ、危機感を抱いてしまいてしまう。
「刀也…怖い夢を見たの」
その手を掴み、ここにいてくれと願う。
消えてしまいそうな虚ろな僕の半身。
「夢で、良かった…」
そのまま瞳を閉じる立花、相変わらず危うい奴だと思い直した。
今は安心した顔をして眠っている。
何だか今から学校に戻る気にもなれないなとぼんやり考えていると携帯に通知が入っていた。
『今は立花の傍にいてあげて』
社も心配してたのか、まあそれもそうか。
ありがとう、と端的に返信すると荷物は持って帰るから心配しないで!と返信が返ってきた。
「…心配掛けやがって」
ツン、と立花の頬を指で突くと「むう…」と反応したもののまた眠ってしまう。
「起きたら全部吐いてもらうからな」
全く、熱を出すくらい頑張るなら一人で考えるんじゃなくて少しは頼ればいいだろ…なんてあいつの前では絶対に言えない。
「だから、早く体調直せよ」
お前にはいつも笑ってもらわないと心配なんだ。