24

…遅れてしまった。予定なら十分は早く着くつもりだったけど準備に手間取った。
急いで、しかし彼女に気付かれないように丁寧に待ち合わせ場所に向かう僕。
しかしそこに待っていたのは絡まれて困惑する彼女と高身長の男二人。
周りの奴らは見て見ぬふりをしているようで僕がそちらを見ると目を逸らされた。
「…彼女は僕と予定があるので」
輪の中に入っていき、思い切って腰を抱いて僕の方に引き寄せる。
「ごめんなさい、僕が遅れてしまったばかりに」
戸惑ったようにはにかんだ彼女に申し訳なさを感じてしまう。
また、僕は彼女に気を遣わせてしまっている。
『桜華のこと泣かせたら容赦しないから!いくら刀也でも!』
早速あいつとの約束を破ってしまいそうで少しヒヤヒヤする。
「今日の服、かわいいですね…」
何の脈絡もなく彼女の服を褒めてみる。
「…刀也くんも、かっこいいよ」
結局恥ずかしくなって会話は続かない。
必死に考えた会話もこうなってしまえば頭は真っ白。
想像していたものより何倍もかわいい彼女を前にして赤面する自分を何とか覆い隠すので精一杯の僕。
「とりあえず、行きますよ」
上手く隠せているだろうか。もしこの笑みが彼女にバレていたら…そう思うと途端に恥ずかしくなってくる。
「ごめん刀也くん、少し髪の毛触るね」
何かに気付いたのか彼女が僕を近くにたまたま空いていたベンチに座らせて髪を触る。
「僕に何か変なところでもありましたか」
「ううん、違うの…少しかっこいい髪の毛だなぁと思って…」
照れる彼女の姿に深く追及は出来なくなった。
本当に僕は存外彼女に弱いらしい。あいつだって僕が彼女に向けるこの気持ちをバレバレだと看破してきた。
あの恋愛鈍器の立花が。
そんな僕の分かりきった恋心に未だ気づかない幼馴染を微笑ましく感じると同時にそろそろ気付いてくれと思う僕は別に悪くないと思う。
始まったばかりのこの外出をデートと呼べるくらいこの関係がもう少し親密になればいいのに…なんて考えて、恥ずかしくなってやめた。