借りモノと律儀なお礼

HRが終わって帰る準備をしていると、「桜華」と私を呼ぶ声がまた聞こえた。多方、教科書を返しに来たイブラヒムくんだろうと扉を見るとやっぱり彼で、古典の教科書と共に私の好きないちごミルクを一緒に渡された。
「わざわざありがとう。立花に借りたんだからジュースくらい買いなよって脅された?」
なんてふざけ半分に聞くと、
「いや、桜華がなんのジュース好きかは聞いた」との事。こいつ普通にモテるななんてつまらないことを考えながら
「そっかありがとう。そういえば立花は?」と聞くと、「あー…なんだっけ、神田先生に呼ばれてた気がする。」
「え〜…一体何をしたんだ立花は…」
呆れる私に、苦笑いを浮かべるイブラヒムくん。そんな時に、ポンと優しく頭を小突かれた。後ろを向くと、刀也くんがいて「ほら、帰りますよ」って。一瞬、目を見開いてびっくりしたけど、うんと頷いてイブラヒムくんにじゃあ、イブラヒムくんも気をつけて帰るんだよと言うと「ん、じゃあまた」と言って教室に帰っていった。自分の荷物を少し整理して、古典の教科書をロッカーにしまって刀也くんと立花を迎えに職員室に向かった。でも、運悪く立花と入れ違ったようで、下駄箱で立花を待っていると、ぶぶっとなる通知音。見てみれば、ヒムと遊んで帰るとのことで全く自由だなぁなんて。私の個人チャットに来たものを刀也くんに見せるとあいつ…と呆れていて私も苦笑いをしてしまった。それでも、やはり優等生は切り替えが早いもので、じゃ、早く帰りますよと言って私の先を歩くのだった。帰り道に、クレープを買ったのは立花には内緒だよ。

2020/09/09