感傷とポニーテール

「あ、ポニーテールだ」
立花のセミロングの柔らかな髪がひとつにまとめられ揺れている。髪の短かった立花がここまで伸ばして綺麗にまとめているのを見ると時の流れを感じて感慨深くなる。ゴールテープを切って助っ人先の部活の子と笑っている立花を思わず写真に収めていた。盗撮になっちゃうかな、まぁ、バレなければいいかなぁなんて思って撮れた写真を見ると、存外に綺麗に撮れていて立花が写真の中央で笑っている横顔がそこにあった。ふふ…っと少し笑みをこぼしてしまった。
「何してるんですか、人の妹なんて撮って」
聞き慣れた声が鼓膜を揺らした。
「んー…?立花のポニーテールが綺麗に揺れてて、なんだかいいなぁって思っただけだよ。ほら、あの子、髪短い時期の方が長かったから。なんだか、感慨深くって…黛くん、写真いる?」
「まぁ、貰えるなら貰いますよ。…なんだかんだ今、立花が楽しそうにしてるなら僕は何も言いませんよ。あと、別にいつも通りでいいですよ。もう、ほとんど誰もいないし」
「最終下校時間、もうすぐだもんね…あとほんとにちゃっかり回収するあたり刀也くんだよね…ま、私も大概なんだけどね」
「桜華は立花のことになると過保護だしな」
「お互い様だよ。刀也くんもでしょ」
「さぁね」
立花が話している私たちに気付き、「刀也〜!桜華〜!一緒に帰ろ〜!」なんていうのんびりした自由な立花の声が聞こえて、私たちは手を振り返して笑うのだった。
刀也くんは、私に対しても少し過保護すぎるよとは言えなかった

2020/09/11