──ああ、立花を撮ったのか。
撮った写真を眺め、幸せそうに慈しむような表情をする彼女。人の妹にどんな感情を向けているのか。
「何してるんですか、人の妹撮って」
どう声をかけてもきっと彼女は、僕の言葉の真意を汲んでくれると思っている。そういう所は、この幼馴染に対して依存していると言っても過言では無いだろう。
「んー…?立花のポニーテールが綺麗に揺れてて!なんだかいいなぁって思っただけだよ。ほら、あの子、髪短い時期の方が長かったから。なんだか、感慨深くって…黛くん、写真いる?」
中学時代のことを指しているのなんてすぐに分かった。彼女は立花にすぐに手を伸ばせなかったと後悔してることも知っている。同じクラスで何も出来なかったと悔いていた。実際、彼女が一番立花を支え助けたと僕は思っているのに。彼女のそういう自己評価の低いところは考えものだと思う。だから僕は、彼女のことを肯定し、たまに誉め、楽しく同じ時を歩んでいると思っている。僕にとって、彼女は大切な幼馴染だから。
「まぁ、貰えるなら貰いますよ。…なんだかんだ今、立花が楽しそうにしてるなら僕は何も言いませんよ。あと、別にいつも通りでいいですよ。もう、ほとんど誰もいないし」
それは、確かに僕の本心だった。立花が過去の事を気にしないでいれるならそれで。多分、彼女もそうなのだろう。それに、彼女から黛と今更苗字を呼ばれるのは、距離を感じると共になんだか慣れなくて、でも、名前で呼んでくれとも言えずにそれとなく人の少ない所では、つい言ってしまう。
「最終下校時間、もうすぐだもんね…あとほんとにちゃっかり回収するあたり刀也くんだよね…ま、私も大概なんだけどね」
ここで会わなくても、僕のメッセージに立花の写真を送ってくるくせによく言うよ。それと、名前でしっかり呼んでくれる彼女は多分誰よりも僕と立花のことを理解してるんだろう。
僕の立花に対する思いも、多分、彼女に対する想いも。
「桜華は立花のことになると過保護だしな」
「お互い様だよ。刀也くんもでしょ」
「さぁね」
帰ってきた言葉は、お互い図星でこちらを見つけて嬉しそうに楽しそうに手をぶんぶんふる立花に手を振り返していた。さて、僕らの姫様を待つとしますか。ほんとに手が掛かるヤツだ。
2020/09/11