ぷしゅ、と開いた炭酸ジュースを勢いよく飲む。
シュワシュワとした炭酸が喉を潤していくのを感じながらぼんやりと空を眺める。
空は天高く、雲一つない青空が広がっている。
太陽がギラギラと照り注ぎ焼け焦げそうだ。
部活帰りの兄と待ち合わせをした私は学校近くのランドマークで待つことにした。
人が多いからか日陰の数は圧倒的に少ない。
学校出たからと連絡が来たのがついさっき、あと3分くらいで会えるだろうか。
「ま、黛さん?…どうしてこんな所に…?」
クラスメイトだったか、どうやら私を知っているらしい男子。
バイト帰りだから普通に私服なんだけどなぁ、なんてぼんやり考えていたら何も答えない私に痺れを切らしたのかその人は強引に話を進める。
「私服も可愛いね…この後一緒に何処か行かない?いい所知ってるんだけど黛さんにも来て欲しいな」
側から見ればナンパ野郎に見えるだろうにどうしてそこまで必死になって私を誘うんだか。
こういう奴は無視しとけって言われてるし知らない人について行っちゃダメだって何度も叩き込まれている。
例え美味しいお菓子があろうが私はついていかないぞ。
ナンパするなら私じゃなくてもっと可愛いほの…他の子にすればいいんだよ!
生憎幼馴染みを生贄にするほど私の心は荒みきっていなかった。
ぐいぐいと腕が引かれる、やばい…ここから離れたら…
「お引き取り願えますか、こいつはこれから僕とデートするので」
「っ…!」
蜘蛛の子を散らすように去っていくその人を見送ってほっとする。
「ちゃんと来てくれたんだ」
「当たり前だろ、そもそも待ってろなんて僕が言い出したことなんだから」
私より背が高くなったこの兄は私を腕の中に収めてご満悦のようだ。
「どうして外で待ってんだよ、喫茶店とか屋内でも待てただろ…わざわざこんな炎天下で…」
「楽しみだったからつい」
飲み終わった炭酸のペットボトルを捨てて歩き出す。
いつの間にか刀也は私より少し先を歩いていて。
そういえばこれってデートだったんだぁなんて刀也に問いかけてみればしょうがないだろ…なんて珍しい答えが返ってきた。
たまにはそういうのも楽しいよね、なんて言ってみれば何だか不服そうな顔をされた。
解せない、それになんかしれっと馬鹿にされた気がする…双子の勘って奴だけど。
「…行くぞ」
いつも私の手を引くのはこいつの役目だから今日もされるがままになってあげる。
随分満足そうな表情で引っ張るものだから何かいいことあったんだとは思っておく、口には出さない。
それに…刀也が幸せそうだと私も嬉しくなるなんて、そんなの絶対に言ってあげない。