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「明那っ」
行ってほしくない、嫌だ、気付けばそんな傲慢から物陰から顔を出していた。
余裕なさすぎじゃんなんていつもなら笑えただろうに今日ばっかりは駄目だ。
振り向く明那にホッとしてる私がいる。
「心配させてごめん」
謝ってほしいわけじゃないのにどうしても心配だからって、私の自己満足で見てた癖して…本当にずるいなぁ私。
「俺には立花しかいないから…勘違いで別れるとかやだからね俺」
向こうも同じみたいでお互いしどろもどろになりながらも弁明みたいなことをして。
そうしてようやく気を取り直して。
ナンパされるほど私の彼氏様はカッコいいんだって見せつけてやる。
…分不相応な気は正直すごいするけど、明那は絶対そういうこと気にしないもん。
「そっかぁ…今日デートなんだよなぁ」
感嘆するように明那は呟いて、そうなるまでよく頑張ったな俺〜なんて感激してる始末。
そんな姿が面白くて笑えば立花笑った!なんて明那も嬉しそうにする。
まだ友達の距離みたいなところはあるけど私達はそれでも恋人で。
…だから隣の人は間違いなく私の彼氏で。
「カップルです、俺達」
変な感じがする。明那もそうだったみたいで二人で顔を見合わせて笑った。
わざわざ映画館でカップル割引を頼む勇気があの頃よりは私達にあって。
距離、だいぶ近づいてきたねなんて笑えば急にはずるいって!なんて防御の姿勢を取られる。
うぶで純粋な私の彼氏、明那は私もおんなじようだったなんて言うけど明那の方がよっぽどうぶだもん。
ポップコーン食べようとして手が触れ合ったなと思ったら赤面してるって…本当に面白い。
私より女の子ヅラしないでよねなんて茶化せば俺より彼氏ヅラするなよ…なんて返ってくる。
ちぐはぐな私達はそれでも恋人に近付いてる。
今はまだ…友達以上恋人未満ってとこだけど。