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ってあれ男の人じゃない?
恨めしげに見つめていたら彼氏をナンパしてたのが男だった件について。
ラノベでも書けそうな内容になったけどメリーは中性的だからなぁ…
「…人の彼女に何手ぇ出してんの」
少しドスを効かせて、威嚇さえすればこの手の輩は離れていく。
刀也とそっくりで良かったとこの時ばかりは切に思うよ。
「……立花の彼氏は僕なのに」
背中に重みが乗る。メリーが頭をグリグリと押し付けてきているようで。
重いのにどうしてもやめさせられない。
中性的なメリーが私の彼氏になると決めてくれたのが先日。
それ以来こんなことは多くあった。
学校内ならまだ文化祭であれだったからと勘違いされているものの少しずつ浸透しつつある私達の関係。
それも一度外に出てしまえばただの女子二人に見られかねない。
…分かってたことなのに。
「ごめんねメリー」
傷付けたのは間違いなく私だった。
デートしたいなんて言い出さなければよかったなんて後悔して謝罪を述べる。
「…手を取って貰うだけじゃ駄目だね」
辿り着いたそれっぽい雰囲気の喫茶店。
メリーから唐突にそんなことを言われたものだからしばし何も言えなくなって。
「なんのこと…」
我ながら鈍いやつだとは思うけど…何がなんだか…
いつもと違うメリーの雰囲気にくらくらする。
メリーの世界は今日も私の知らないことばかり。
隣に並んでいてもそれは分からないことだらけで。
戸惑う私に向けてメリーの端正な顔が近づいてきたかと思ったらその距離は急にゼロになって。
…つまり、どういうことなんだ。
焦る私の頭に綺麗なメリーの手が乗って、頭を優しく撫でられる。
「立花は僕の彼女なんだよ、もっと緊張感持って」
彼女、強調された言葉にしてやったり顔のメリー。
奪われたハジメテの甘さも頼んだケーキに溶けて。
そうか、この人が私の彼氏なのかなんてゆっくり自覚を持って感情が熱を帯びる。
カフェオレの氷がチリンと音を鳴らした。
今はこの甘さを楽しんでいたくて、少し苦いカフェオレには口をつけられそうもない。