76

ピンポーン、軽快に鳴った家の呼び鈴にわざわざ鳴らしたんだなんて考えて。
「立花、外でガクくんが待ってるよ」
お兄ちゃんに急かされる。玄関まで言ってみれば刀也がガクに何かを話をしてる所だった。
しかし私の姿を見つけるとガクはすぐに駆け寄ってくる、犬かよ。
「真剣な話してた?」
「ガクくん相手に僕から言えることなんてあると思うか?」
「だよねー」
「あー…なんだ、まあ気をつけろよ」
雑に心配されて家を出る、ガクと手を繋いだまま。
「なんか褒めたりとかしてくれないの」
「…かわいいぜ、いつもより何倍も」
どうもガクはすぐにお兄ちゃんヅラする。
昔からの癖だったと言われたらそこまでかも知れないけど…頻度が多すぎる気がする。
仮にも私達はカップル…なのだ。
…もっと自由にさせてほしい。いつまでも妹扱いされてちゃできないことだってあるわけだし。
それでもガクとのデートは楽しくて、ちゃんと私のことを考えた気の利いたものだったから非難のしようがない。
気付けば帰りムードになっていて、今日は楽しかったなんて感想を言いながら帰っている。
しまった、丸め込まれる。
これは私とガクの攻防戦、距離を縮められなければやられるだけだ。
「ガク、私のことどう思ってる?」
「え、…かわいいと思ってるな普通に…妹みたいで」
こ、こいつ〜!無自覚で私を傷付けた!
今の言葉は確実に私の琴線に触れたぞ!
「妹とこんなコトすんの」
思い切ってその唇に触れる。いわゆる…キス。
戸惑うその顔に向けてはっきり言ってやる。
「…妹じゃなくて彼女だから」
遠回りをする気もお預けされる気だってない。
攻防戦は今日で終わりにしよう。
貴方の彼女になれるなら私はかわいい妹だった自分さえ殺せるのだから。
…赤くなった頬を隠すように夕焼けの中へ歩いていく、貴方の隣で。