77

恋に落ちたのはきっと偶然じゃない。
私がそう信じていたいだけの話かも知れないけど、不思議とそれ以外だとは思えなかった。
「…アルバムなんて読み返して何するんだよ」
小さい頃から隣にいる彼との距離感は近くなりやすくて、多分こういうこまめなこともあって意識しちゃうんだな。
「少し調べたいことがあって…」
それに彼は気遣いが出来る。今だって私の身長じゃ届かないところにある箱をしれっと取ってくれた。
いつしか身長も手の大きさも超えられてしまったけどあの頃の可愛さが勝る彼も私は好きだった。
今では立花の手を引いているけど昔は立花に甘えてばかりだったなぁ。
そんな彼の変な成長度合いにくすりと笑ってしまう。
あれこれ言い合いながらもアルバムをめくる手は止まらなかった。
思い出話は溢れて止まらなかったし、それに比例して私が彼を好きになった記憶が鮮明になってきた。
きっかけは些細なことだったと思う。
帰りに待っていてくれたとか、一緒の用事がたくさんあって話す機会が他の子より多かったとか。
それでも一度きっかけを得てしまってからは何度も彼の姿を目で追っていた気がする。
「立花またブレてる」
「あいつは写真映りのムラが激しいんだよ」
3人で撮った写真がほとんどなのに立花はたまにブレている。
そのため意図せずツーショットが完成していて…見ていてだいぶ辛い。
あんまり昔のことは見返すものじゃないななんて考えながらアルバムを閉じる。
初めてラブレターを書いた日、バレンタインデーでチョコを作った日、プレゼントを送った日、好みを調べた日…好きになった日。
たくさんの思い出が私一人だけじゃない、双子と一緒に彩られていて。
きっと私一人じゃ鬱蒼としているであろうアルバムも綺麗な色で溢れている。
笑う彼も私も時が経つごとに変わっていて、それでも変わらないものが何処かにはあって。
大切にしていきたい、これからも。
何気ない幸せを実感して、噛み締めた。