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【あなたの手を取る】
「ごめん、本当に僕は…」
擦り切れてる、メリーはきっと摩耗しちゃったんだ。
私にバレないようにといじめを隠す中で自分自身がどんどん壊れていって。
「メリーは強いね」
「違う、僕は…」
「今も私の手を引いてくれるじゃん」
隣にいるって教えてあげなくちゃ、一人じゃないよって。
あの時の私は何も知らなかったから。
無色透明、純真無垢なんて言えば聞こえはいいけどそんな訳ない。
私は無知だった、ただそれだけの話だったのだ。
「ねぇ、次はどこに行こっか」
自由になれた、今はそれだけでいい。
面倒くさいしがらみとか枠とかそんなのどうだっていい。
悲しい顔はしたくない、それは全部あの頃に置いてきたから。
「…泣かないで」
抱きしめてあげる、私はここにいるってちゃんと教えてあげる。
そんなに悲しい顔をしないで、私は大丈夫だから。