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手元に出来上がったメイド服を見つめて正気に戻る。
まるで今まで暴走していたかのような言い草だけど正直な話そうなのだからぐうの音も出ない。
「…やっちゃった」
試作をしていたらつい、いつもの感覚で幼馴染のサイズにしてしまった。
どうしよう。他の誰かに着てもらうにしてもサイズ調整したり丈の寸法とかも変えないと…
「ごめんねえらちゃん…お金はちゃんと私が払うから…!」
「逆に短時間でこんなクオリティなのすごいわ…お金払いたいくらい」
「それはだめ、ちゃんとみんなの分作るから」
「頑固だなぁ…」
結局えらちゃんが私を叱ることはなかった、桜華がそこまで言うならいいよなんて本当に優しい。
えらちゃんにお礼を言って同じく準備しているであろう立花を探しに行く。
「立花いる〜?」
立花のクラスに顔を出せば数人のクラスメイトが反応して立花を呼びに行ってくれた。
昔からそうだったけど立花は人気者、刀也くんとは違う意味で。
みんなからチヤホヤされる癖して本人が無自覚だからっていうのもあるかも知れないけど一番は立花が危なっかしい所にあると思う。
それが立花の魅力。ドジっ子が需要あるように立花みたいな子は人を惹き付ける…と思う。
「なあに桜華〜」
ひょこりと顔を出した立花。
「ごめんね忙しいのに」
話には聞いていた、文化祭でてんやわんやなこの時期に立花は引っ張りだこらしい。
現場監督なんて確かに立花らしいというか…
本当に私の幼馴染は凄いなぁ。
「桜華の頼みなら何でも聞くよ!」
てか桜華も私に頼ることなんてあるんだねぇ、刀也に自慢できそう!なんて呑気に立花は言ってるけどそんな彼女にたくさん助けられてることは秘密にしておこう。
言ったところで否定されるのがオチだろうし。
「…いや、ねー…何でもとは言った…言ったけど流石にこれは」
フリフリのメイド服を見て立花は渋る。
「着ないって選択肢は…」
「無いね」
呆れたような、恨めしげな表情を浮かべて立花は渋々頷いた。