元気なよく通る声に声をかけられる。声のするほうを見れば、同じクラスのカルタちゃんで、おはよう〜って言いながら校門を通る。カルタちゃんは、二週間後に迫ったテストについて憂いていた。私も勉強が得意なわけでもなく嫌だよねぇ〜と相槌を打っていると、「桜華ちゃん、頭いいから山神に勉強を教えてくれませんか!!!タピオカ奢るから!!」
「タピオカかぁ〜ロールケーキじゃダメ?美味しいお店知ってるから…」
「桜華ちゃんの好きな物で!!!」
カルタちゃんはそう言って財布を案じているけれど、実はロールケーキの方が安上がりなのだ。
「じゃあ、今日の放課後ロールケーキ買ってうちで勉強しようか」
そう言うとカルタちゃんは、パァァっと顔を明るくした。カルタちゃん、べつに頭悪い訳じゃないのになぁ…なんて思いながら放課後を待つのだった。
「桜華ちゃん!行こう!」
わくわくで私の机に来たカルタちゃんに、ちょっと待ってねと言って立花と刀也くんのグループにLINEを送る。
『今日よる所あるから先に帰るね。2人とも気をつけて帰ってね』【うさぎのスタンプ】
「カルタちゃん、まずケーキ屋さんに寄ります。いくよ〜!」
「はーい!」
学校をでて、自分の家の方角に歩く。途中にあるケーキ屋さんによってカルタちゃんの奢りでロールケーキを4切れかって、私は自分のお金でプリンを4つ買った。カルタちゃんは不思議にしてたけど私は内緒〜と笑うと山神にも教えてよ〜と追いかけっこをした。そんなことをしながら、うちにつく。
カルタちゃんはうちに来るのが初めてだから緊張していた。私はいつも通りにただいまと声を掛けて家に入る。カルタちゃんは私の後ろを着いてきながらお邪魔しますと礼儀良く言っていた。私が帰ってきたことに気がついたむぎがお姉ちゃんおかえり〜と遊びに来ていたリリちゃんも、おかえりなさーいと声をかけてくれた。はーいただいまーと声を掛けてプリンを冷蔵庫にしまってロールケーキを4切れお皿に盛る。紅茶とココアを入れてむぎに持って行ってもらう。「むぎ、お手伝いありがとう」
「いいよ、これくらい。美味しいロールケーキ買ってきてくれたもん!」
「ふふ、ここのロールケーキむぎの好きなところのだからリリちゃん美味しく食べてね。」
「うん!」
扉を開けて貰って、カルタちゃんの前に紅茶とロールケーキを置く。私はココアにした。ロールケーキを食べながら雑談して、片付けて、勉強をする。一時間くらいカルタちゃんと集中していたようで、コンコンとなるノック音に意識を戻された。「どうした?」「ご飯だって、桜華ちゃん」「リリちゃん、ありがとう。カルタちゃん、食べてく?」「え、山神もいいんですか!?」「いいよ、多分母さん、カルタちゃんの分も作ってるよ」「じゃあ、お言葉に甘えて…」カルタちゃん連れて食卓に行く。今日はリリちゃんはこっちで食べていくようで、むぎの向こう側に座っていた。むぎの隣に座って、カルタちゃんがりりちゃんの隣に。「いただきます」とみんなでご飯を食べる。
リリちゃんとむぎとカルタちゃんがお話しているのを父さんと母さんと話しながら聞く。楽しそうでなによりだ。みんなが仲良くなって、リリちゃんとむぎがすこし寂しそうにカルタちゃんが帰るのを見ていた。「また、来ますから山上のこと忘れないでくださいね!」なんて、別れの挨拶をしていた。カルタちゃんを駅まで送る。駅まで送ってコンビニでアイスでも買おうかと向かうと、「桜華」と声が聞こえて振り返る。刀也くんの声。「刀也くん」と返せば、
「コンビニ寄ってもいいですか」
「私も寄るから大丈夫」
私より一歩先を歩く刀也くんの後ろについて行く。
「何買うの?プリン?」
「まぁ、甘いのでも買おうかとは思ってましたけど…」
「プリン、うちの冷蔵庫に4つあるよ。ケーキ屋さんで買ったやつ。兄さんと刀也くんと立花で食べようと思って買ったやつ。」
「ほんとですか?じゃ、飲み物買って早く帰りましょう」
「甘いものは逃げないよ」
コンビニで飲み物を買って、帰路に着く。私の買った飲み物もお菓子も当たり前のように持ってくれて、車道側も気づけば歩いている。後ろをただ歩くのもつまらなくて、彼の服の裾を掴む。服が伸びるって怒るだろうなぁって思ったけれど、彼は裾を掴む私の手を握ってそのまま歩く。横に並んで歩くなんて、何時ぶりだろう。少しふわつく気持ちで、私の家について彼にプリンを2つ渡す。「立花と一緒に食べてね。迎えと送ってくれてありがとう。おやすみ、刀也くん。」
「おやすみなさい。今度から夜歩く時は、僕かガクくんにちゃんと連絡入れてくださいね。それじゃ、プリンありがとうございます。」
兄さんの部屋に並ぶふたつのプリン。一緒に話しながら食べるプリンはいつもより甘い気がした。
2020/09/14