隠し事、お見通し

「ねぇ、桜華。」
立花に呼び止められ、振り向けば眉間にシワを寄せる立花。「どうしたの?」と聞くと更に眉間に力を入れたようだった。「おでこ出して」
「大丈夫。何も無い。無理もしてないから、気にしないで」「いいから」後ろへ下がる私と私を追いつめに近づく立花。後ろ手が机に着く。それでも、立花は迫ってくるのを辞めない。私より小さな身体で私を追い詰める。ほぼ机に座わらされてしまったのにも関わらず私をまだ追い詰める。立花の端正な顔が私の近くにあって、同性ながら我が幼馴染ながらドキドキしてしまう。ほぼ机に寝かされたと言っても過言ではないような体勢。私の足に割って入ってくる立花。傍から見れば立花が私を机に押し倒してるように見えるだろう。恥ずかしくて、視線を立花から外す。
「ね、正直に言って欲しい」
「言うことなんて、何も無いよ。本当に。それにもう帰るだけでしょ。刀也くんもうすぐ来るよ」「刀也なら廊下にいるよ。」立花が廊下のほうを見る。私もそちらを向くと、満面の笑みを浮かべている刀也くんが居た。立花は刀也くんに手招きをしていて、「刀也、桜華のおでこ触って」「まぁ、今日体調悪そうでしたもんね」なんてケロッと言う。「え〜元気だよ…気のせいだよ…」「いや、ガクくんが言ってました」「兄さんそんな事言わないでしょ」「流石に騙されませんか。まぁ、体調悪いのは事実でしょう?おでこ失礼しますよ」「やぁ…」顔の前でばってんを作ってガードしたけれど、するりと立花と刀也くんに片方ずつ手を取られる。目の前には、二人の顔。綺麗な顔が目の前にある。顔が真っ赤になって暑い。刀也くんの顔がどんどん近づいてくる。前には立花が居て動けない。目をぎゅっと瞑って、おでこに来る衝撃に耐える。優しくぶつかるおでこ同士と、刀也くんの「37度前後じゃないですか?微熱ですね」の声。「ふ、普通に体温計とか、手とかあるでしょ……も、ほんとに……ばか……」
「あはは、こんなに涙うるうるな桜華久しぶりに見たな〜かわいいね」
「桜華は、僕達の顔が好きですもんね」
「自覚あるならもっと、優しくしてよ……」
ケラケラと楽しそうな二人と、床に座り込む私。
ほんとにもうなんなんだろうか…たまに見せる双子の意地悪ないたずらっ子のような行動にドキドキしてしまう私も私だろう。座り込んでいた私に刀也くんが手を差し伸べて来たのでその手をとるとそのまま抱き上げられてしまった。「刀也くん、降ろして、恥ずかしい」「立花、鞄」「はいよ〜」「立花」「ごめんね桜華。熱ある人を歩かせる訳には行かないから大人しくしててね」そう心配そうに言う立花はいつも通りだった。「しんどかったら肩にもたれていいですから」そういう刀也くんもいつも通りで私は、安心して眠たくなってしまって、意識を失った。次に目を覚ました時は、自分の部屋の天井で、心配そうなむぎとお粥を持った兄さんがいた。兄さんの卵がゆはすごく美味しかった。

2020/09/19