台本読みも集中できなくなって自販機に飲み物を買いに行ったら、エビさんがそこにいた。
「普通に飲みもん買いに来ただけっすけど」
「いや、まぁそうだけど、そうじゃなくて!」
俺の答えに謎のキレを見せるエビさんは、意味わからなくて面白い。買ったばかりの飲み物を開けて一口飲みつつその様子を見ていた。
「ヒムのとこ出しもん何すんのって聞きたかったんだって」
言い訳のような言い方はエビさんが得意な構文のようなもの。
「俺のとこは、劇とリアル脱出ゲームっすね」
「へ〜!やっぱそっちも劇やんだ?ヒム主役?」
「ん、まぁ、一応主役っすね」
「俺もそうなんだよね〜!まぁ、カリスマ英雄的なとこあるし当たり前ではあるんだけどさ〜!」なんて調子のいいことを言うエビさん。大体いつも通りだ。
「てか、リアル脱出ゲームって何すんの?」
「え、あー…普通に謎解きして景品渡すって感じっすね。こっちは基本的に劇に参加しない奴らがメインでやってる感じっすね」
「へ〜うちは劇2本でほかなんもやってないからなぁ」
「うちも劇2本っすね」
「はぁ!?頭おかしいんじゃないの!?普通に忙しすぎてやばすぎだろ!?」
「まぁ、劇も2班に別れてるから普通っすね。」
「いや、それでも忙しいだろ…ヤバ…2組ヤバすぎだろ…」
そんなことをいながら俺のクラスにドン引きしてるエビさん。買ったばかりの飲み物は、半分に減っていてここに随分と留まってしまっていたようだった。
「エビさん、俺そろそろ台本読みに戻るからじゃーね」
「ん、俺のクラスの劇が一番だけどヒムのとこのも楽しみにしてるわ」
「そりゃどーも、でも、うちのクラスが一番だから舐めないでねエビさん」
そんな宣戦布告をして教室に戻る。
アラジンの台本をずっと読み込んでいる黛を見て、俺も頑張らなきゃなーと意気込む文化祭準備期間の事だった。
2020/09/21