「いてら〜」
桜華の家のリビングで机に教科書とノートを広げて勉強をしていた。
テストが近いから仕方なく、桜華と勉強をしている。
一人でやるのもつまらないから適当に教科書を流し読みしては、手元でずっとペンを回す。
ガチャっと桜華が出ていった扉とは別の扉の開く音が聞こえた。
「あれ?桜華は?」
「ガクから電話っていって出てった〜」
「そーか、んじゃ今立花とワシだけなのか」
「そうだね〜久しぶりだね、ドーラママと話すの」
「そうじゃな〜立花がうちに来てるのは何回か聞いてたけどなかなか会えなかったもんな〜!」
楽しくドーラママと話す。ドーラママは、自分のカフェオレを作るついでに、多分、私のために甘くて暖かいホットミルクを作ってくれる。
お母さんはよくココアを作ってくれるけど、ドーラママはホットミルクを作ってくれる。
散らした教科書とかノートをまとめて、机にマグカップを置くスペースを作る。
可愛いオッドアイの猫のマグカップ。
私と刀也のお揃いのマグカップ。
桜華はふにゃんとした柴犬のマグカップをむぎちゃんとガクとお揃いにしていた。
この家に来るとみんなお揃いのものがあって微笑ましいなぁなんてよく思う。
うちにも色違いの食器とかはあるけれど、どれもシンプルなものばかり。
だから、可愛らしいもので溢れたこの家がすこーしだけ羨ましい。
まぁ、桜華から貰った小物とか服とか可愛いものがあるけれど、うちの家族は存外そういうものに疎いよなぁという話だ。
ドーラママはシンプルな白いマグカップに赤いリボンの模様があるものだ。これは築パパとお揃いのペアマグカップ。
どこかふわつくこの社家は、やっぱり桜華の育った家なのだととても思う。
あったかいホットミルクを飲み干して、
「ドーラママ、ありがとう」とお礼をいえば
「んーん、こちらこそありがとうね、いつも桜華といてくれて。刀也にもよろしく、うちの子、たまにふらふらしてるから。」
「もちろん、私と刀也に任せてよね」
「ほんとか〜?頼もしいの〜」
ガチャっと開いた扉から、
「二人で何話してたの?」という桜華と
「サボって無いだろうな〜?」と言う刀也
「ちょ、二人とも荷物持っていってくれよ〜!」という情けないガクの声が聞こえて、リビングでみんなで笑いあった。
桜華の問に答えるつもりはなかった。
これは、私とドーラママとの秘密だ
2020/09/27