密かな執着、フルーツパフェ


「お、刀也じゃん」
「は?」
名前を呼び止められ思わず出てしまった声。
後ろを向けば桜華の父の築さんがいた。
「なんだ、築さんか…」
「お前、声掛けた瞬間は?はないだろ…俺めっちゃ怖かったからな?」
「次から気をつけますけど、後ろから声掛けたんですから警戒しては?位は出ますって」
「あぁ、まぁ、それは俺が悪いな…」
「というかこの時間に会うなんて珍しくないですか?いつももっと遅いですよね?」
「ん、ああ、そのまま直帰。だから、早く帰って飯でも食おうかと思ったけど、飯の準備まだらしいからかるーくどっかで食ってこうかと思って」
「あぁ、なるほど」
「刀也、お前暇なら付き合えよ、奢ってやっから」
「僕も小腹すきましたし、お言葉に甘えて」
近くのファミレスに入って適当にメニュー表から選ぶ。
「んで、お前、うちの桜華とは何処まで進んでんだよ」
まぁ、こんなことだろうとは思った。
「進むも何も僕達付き合ってませんよ」
水を飲んで喉を潤す。彼女のことを考えると喉が渇いて仕方が無い。
「嘘だろ…?最近の学生怖いな…あれだけ距離も近いのにか…?」
そんなふうに怖がっている築さんは、
相変わらず面白い。
「まぁ、僕らが多分おかしいのはお互いわかってると思いますよ。僕も彼女も」
注文した料理がテーブルに置かれる。
「まぁ、お前らが分かってるなら俺も口は出さないよ。ただ、桜華泣かせたら流石の俺も怒るかんな」
「彼女を泣かせるなんてこと僕も願い下げですよ。」
目の前に運ばれたフルーツパフェにスプーンを入れる。
「まぁ、お前程うちの子に執着してる奴は居ないけどな」
そう言った築さんの言葉に聞こえないふりをしてみずみずしく潤ったフルーツを口に運んだ。僕の心を満たすのも決まって彼女だなと思いながら、舌の上に甘いクリームをのせるのだった。

2020/09/27