厳しいあの子

「あれ、刀さんじゃん」
「はぁ?花咲ちゃんじゃないですか、どうしたんですかこんな所で」
家へ帰る途中のなんてことない道。
いつものように特に何事もなく過ぎていくはずの道だったが、桜華の従姉妹の花咲ちゃんとたまたま出会ってしまった。
「え〜?桜華ちゃんの家にお裾分けしに行くとこ」
「あぁ、なるほど」
そんな受け答えをして、黙々と家への道を辿る。無言。特に仲がいい訳でもない僕は、この年頃の女の子とどんな話をすればいいかいまいち掴めずにいた。
「ねぇ」
突然彼女から話しかけられる
「なんです」
なんでもないように返答する。
「桜華ちゃんと何処まで進んでるの」
その事を僕に問いかけると、彼女の纏う雰囲気がいくらか冷たく感じた。
「僕と彼女はそんな関係じゃないですよ」
本当のことを言った。
「ふ〜ん?そうなんだ。でも、ただの幼馴染でいる気なんて無いんでしょ」
彼女の視線はまるで僕を見透かしているようだった。
「それを聞いてどうするんです?別に親戚の恋愛話なんて面白くもないでしょうし」
「別に?桜華ちゃんが好かれてる男がどんな人か気になっただけ。桜華ちゃんを泣かせたら承知しないから」
「泣かせるなんて不本意です。どうせなら幸せにしてやりますよ」
「そう、それならいい。じゃ、また今度」
彼女と攻防しているうちに、目的地に着いたようで桜華の家に吸い込まれるように消えていった彼女を後目に、自分の家へ入るのだった。

2020/10/01