遊び、本気、秘密

鳴り響く警告音。黄色と黒のバーは下がったままで私の道を塞ぐ。
「刀也くん、好きだよ」
そう言ったと同時に夕暮れの音。
「あ、ごめん、もう帰らないと…みんなばいばい」
そう言えばみんな各々、気をつけてとかじゃあね!とかまたやろ!と楽しそうに送ってくれる。立花と刀也くんを置いて、早足で学校を出る。近道のようで遠回りのこの踏切に来た。ここの踏切は一度閉まるとなかなか開かないから、ここの道を使う人はほとんど居ない。だから、一人になるにはちょうど良くて。黄色と黒、警告の赤。過ぎる銀色の四角。点灯と消灯を繰り返す矢印。
時間を潰すのも思考の海に落ちるのにもここは丁度いいのだ。ぼーっと、開かない踏切を見つめて考える。
好きだよ、と言った時の刀也くんの顔は、
表情はどんなものだったのか。
なんとも思ってない幼馴染からの好意の言葉は嬉しかっただろうか。
それとも、こういう巫山戯たゲームでの告白なんて誠実じゃないと彼は怒るだろうか。
きっと、それは後者だ。
刀也くんだから、言ったと言ってもきっと信じて貰えない。元々夕暮れの音楽が鳴ったらひとりで先に帰ろうと思っていた。最後にふざけた悪ふざけな命令が来ると思っていたから。案の定それは来て、4番の私が1番の彼へ告白するというものだった。これが、アルビオくんやイブラヒムくんだったら、えーなんて言って渋って音楽を理由に帰っただろう。そんなことを言っても頑固な彼は、分かってくれないだろう。そもそも、私に興味が無いのだろうけど。長い間なっていた警告音は止んで、黄色と黒のバーが上がる。
踏切に足を踏み入れようと、向こうへ進もうとしたところだった。
「桜華」
なんでいるの。
「刀也くん、珍しいねこんな道通るなんて」
そう言いながら、どう逃げようか模索していると、
「あれ、誰にでも言うのかよ」
彼の言うあれとは多分、好きという言葉の事だろう。
「誰にでも、なんて言わないよ。しかも、あれはゲームだから誰も本気にしてないよ」
カンカンと鳴り響く警告音と赤い警報灯。
電車が通る
「本当に刀也くんが好きだよ」
轟音と通り過ぎる電車の風で靡く。
きっと伝わらない。
珍しく開いた踏切。
「ほら、刀也くん帰ろう?」
何か言いたげな彼はそれ以上の言葉を見つけられなかったのか私の隣に並んで歩く。
「そういえば、立花は?」
「まだ、遊んでる。同じクラスのあいつが送ってくれるだろ」
「あぁ、イブラヒムくんがってことね。そっか。なら大丈夫だね」
それきり会話は無く、私たちは家へ帰った。
彼が私の言葉をどう思ったのかは分からない
夕暮れ、警告音は鳴りやんだ。
されど、危険は去ったか?