優しく私を射貫く瞳。
それは、ブラウンダイヤモンドのような、
透き通る色で、力強い視線。
「桜華、我慢しすぎるのは良くないと、
前にも言いましたよね」
…掴まれた腕は、感情的になっていて
加減が出来てないようで少し痛い。
「ハヤトさん、力入れすぎだよ」
私がそう言うと、失礼しました、
と少し弛めてくれたけれど、
私を逃がす気は無いらしい。
目を逸らす私を咎めるように
見つめてくるハヤトさん。
無言が続く、何を考えているか見えてこない。
こういう時のハヤトさんは怖い。
「…私は、頼りないですか」
無言を破ったのはハヤトさんで、
その声は酷く弱く、消えてしまいそうだった。
「ハヤトさんには甘えっぱなしだよ」
「それなら、何故話してくれないんですか」
「ハヤトさんに、迷惑かけられないから…
ハヤトさんだって忙しいでしょ?
私みたいな学生に時間を
割いてもらうの申し訳なくて…」
「俺は、桜華のためならいくらでも
時間を作りますし、桜華が辛いと思う環境も
変えられます。学校への迎えも勉強も
欲しいものも衣食住の提供も
俺が出来ることなら何でもしますよ。
勿論、桜華が嫌だと言うならしません。
桜華、やっぱり、私を…
いや、俺を選んでくれませんか」
真っ直ぐに見つめられる。
早口で述べられた言葉達。
ハヤトさんなら、本当にやりそうだと
心のどこかでそう思った。
いや、きっと私が望めばこの人は、
何でもしてくれるのだろう。
私は、私をこんなにも
真っ直ぐ見てくれる人を裏切るのか。
どこか揺らぐ、募らせた初恋。
良き大人として、こんな立派な人になりたいと、
憧れていただけだったのにな
何処か色褪せ始める初恋と色付く憧れは
恋は想いは何処へ落ちるのだろうか。
私は、彼に、何と言うのだろうか。