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『第一回、黛家デートコースのしおり』

何故か製本までされているそれを持たされて…僕はどうすればいいんだ?

これは数時間前に遡る。
近所で毎年やる祭りに今年も行こうと誘われたのだ。
他でもない双子の妹に。
あいつの考えは読めない、というか読めたところで対処なんて出来るはずがない。
例年あいつは迷子になるわ、ナンパされるわで騒ぎになっているのにケロッとしているんだから僕にはその感性が分からない。

僕と一緒に生まれてきた、いわば半身のはずなのに僕は何よりも妹を分かっていないだろう。
まあそれでも誰よりも分かっている自信はある。

…まあそんな妹が今年もやらかしたのだ。
バイトの同期と会う約束をしていたらしく場所は会場より遠い。
祭りなんかに行っていては到底間に合わない時間に待ち合わせている始末。
去年の誕生日プレゼントは自分で予定が把握できるようにと手帳をあげたのだがこの様子だと使ってないらしい。
粗方、僕からプレゼントを貰えたのが嬉しくて貰ったまま使ってない、だとかそんな感じだろう。

とにかくそんなこんなで僕の夏の用事は晴れて無くなった訳だが。

『刀也!私が行けない代わりに代役を立てるから許して!綿飴買ってきて!』

軽快な通知音に乗せられて届いたのはその妹からのLINE。
先程まで『乗り換える駅ってどこだっけ』なんて言っていたが無事に乗り換えできたのか。
代役よりもその方が心配になる。

『私のことはいいから!』

何も良くない、しわ寄せが全部僕に来るんだぞ
…立花はおそらく分かっていないだろうけど。

そうして何度か連絡した内に無事に目的地に着いたと知らされたりした。
その中でこのしおりを見つけたのだ。

とりあえずざっと目を通す。
どうやらこの件には立花だけでなく兄さんやりり、母さん…父さんまで絡んでいるようだ。
あいつはどこまでの人を巻き込んだら気が済むのやら。
ページ数枚の段階で既に零れるため息にはこの際気付かないフリをした。