05

鳴った呼び鈴、家の中にいるのは僕だけ。
多分立花の言っていた代役が来たのだろう。
面倒くさいし適当に理由をつけて帰ってもらおう。

そう考えて僕はラフな服装で外に出た。

「刀也くん、立花いる?」
「…そういうことか」

立花の代役だ、所詮そこらで仲良くなったやつだろう。
そう考えていた僕が馬鹿だった。
あいつがこの光景を見ていたら間違いなくここで大爆笑していただろう。

おそらく騙された(立花に代役を頼まれたとも言うが)社は浴衣を着て玄関に立っていた。

「立花は用事があって行けなくなったって、聞いてないか?」
「うーん、そういうのは聞いてないなぁ…ただ…」
「…?」
「『楽しんできてね』とだけ…」

本当につくづく、あいつには振り回される。
社には心底同情してしまう。

「祭り、行くか?」

ただの気まぐれ、ただ僕は社に同情しただけだ。
理由付けて祭りに向かう事にしたがどうやら社も勘付いているらしい。
その癖して黙っているんだから控えめというか…なんというか。
少しはあいつを見習ってわがままを言えばいいのに、と考えてしまわなくもない。

「立花いないのに、いいの?」
「家に来たけど追い返した、なんて流石に立花にバレたら怒られる」

思えばこうして社と面と向かって話すのは久しぶりだ。
大体立花が間にいたし、学校なんてもってのほか。
いつ以来だったからすら思い出せないくらい昔だった気がする。
それこそ小学校低学年とか、それくらいの。
まだ男女すら意識してなかった歳には、それ相応に仲が良かった気がする。

ぽつりぽつりと途切れかけては話して、と繰り返す。
会話とは言えないようなそれを不思議とやめようとは思えなくて。
いつもなら煩わしい女子達を嫌っているはずなのに、今日は少しおかしいみたいで。

全部立花のせいだ。
この場にはいないあいつを責め立てても状況は変わらない。

「…暑いな」
「そうだね」

変にもやもやする胸に蓋をして自販機で買った炭酸を一気に飲み干した。
茹だるほど暑い、夏の日だった。