06

「なになに、お兄さんからLINE?」
「うん、無事誘えたみたい」
「良かったじゃん!」

刀也のことだから『社か、祭りなら行かないけど?』なんて言って追い返してるかと思ってたんだけど。
どうやらちゃんと二人でもお祭りに行くらしくLINEには『お前が来たかったって後悔するくらい遊んでくる』なんて…皮肉が。
ほんっとうに可愛くない。もう少しなんか…ないのかね。配慮してほしいものだよ。

「そろそろ俺たちも行くかぁ!」
「そうだね、今日は思いっきり楽しんじゃうってことで!」

ノリノリでお祭り会場に向かう湊と明那…そして連れ回される私。
傍から見たら事案に見えるよこれ。なんかナンパの現場っぽいじゃん。
まあこの二人はナンパなんて絶対しないけど。

「明那、金魚すくいで勝負しよう」
「いいね〜」
「負けたらチョコバナナ奢りで」
「じゃあ俺は審判するね〜」

金魚すくいは頭を使わない。
反射神経で何とかできるのである。
つまりチョコバナナは貰ったも同然。
勝負を挑んだ時点で既に私は勝っているのだ!

「てことであざーっす、チョコバナナ美味いっす」

勿論全て私が勝ったしその後も様々な勝負をして奢っていただいた。

「…立花ちゃん…?」

ふと聞き慣れた声がした、気がした。
まあ知り合いが一人二人いたところで人は多い。
どうせ勘違いだと思って終わるだろう。

「…君たち、何してるんスか」

…これはやばい。なんでよりにもよって…
ガクがここにいるんだ。
勿論いる可能性だって考えていたけど、この人混みだぞ?
それを私を見つけてここまで追ってくるなんて普通なら絶対しない。

「え?俺達は普通に一緒に祭りを…」
「ねー立花ちゃん」
「…よ…い…ッス」

これは、珍しくガクが怒っている。
やばい。ここで騒ぎになったら刀也達にバレるかもしれない。

二人に目配せをしてこの場を離れてもらう。
申し訳ないがこんな状態になったガクを宥める術を私は持っていない。
今度礼をさせて頂くとして…とにかく二人には本当に申し訳ない。

「ガ、ガク!落ち着いて…」
「誰が落ち着いてられるかって…」

いつもより乱暴な言葉遣いがその証だ。
今日は他の人を巻き込まず、私だけでよかった。

「心配、したんスからね…」

なにか壮大な勘違いをされてるのでは?
この時になってようやく私はその事実に気づいたのである。

「う、うん…ごめんね」

謝るしかあるまい。今日は本当にから回ってばっかりだ。
祭りが終わる頃には私3回ぐらい死んでるんじゃなかろうか、なんて心配になる程度にはから回ってる。
前途多難だ…とにかくここから逃げさせてほしい。