07

「バイト仲間…?なんで言ってくれなかったんスか!」
「ガクが怒ってたから…ごめん」

明らかにしゅん、としてしまった立花ちゃん。
俺は彼女の『ごめん』に弱いのだ。
流石にこれ以上は追求できない。

「お祭りってやっぱり楽しいね」

立花ちゃんは色々なことに興味津々なようで瞳を輝かせながらずんずんと進んでいく。
桜華が言うには立花ちゃん達は毎年祭りに参加するものの途中で帰ってしまうことがほとんどだったとか。

「よし、じゃあ立花ちゃん…今日は俺とめいっぱい回るッスよ!」

はぐれないようにとそれとなく繋いだ手からは立花ちゃんの温かい体温が伝わってくる。

「ガクって手、冷たいね」
「冷血漢とでも言うッスか?」
「ううん、ひんやりしてて気持ちいいなーって」

立花ちゃんは多分、嘘をつけないタイプで…いつか狐に化かされそうだと本気で心配になる。

「あ!ガク、刀也達どこかで見なかった?」

そういえば今日、桜華は立花ちゃんと祭りに行くって言ってたなぁ…
てことは今桜華と一緒にいるのって…?

「こっそりね、本当にこっそり二人の様子を見るの」

見つけたらしい立花ちゃんは物陰に隠れながらその光景を見守っていた。

どうやら刀也くん達は出店が立ち並ぶ辺りを外れた石畳付近の…あまり人が近づかないような場所を選んだらしい。
もしもナニかあったら俺が立花ちゃんを守らなくちゃだめだ。
まだ…こんなこと早すぎる!
人気のない場所で二人きりになるなんて…そうとしか思えないけど。

「立花ちゃん、ちょっと食べ物買ってきましょうよ…」
「要らない、さっきいっぱい食べたし」

どうにかして立花ちゃんをここから遠ざけないといけないけど逆に一人にしちゃうのもそれはそれで危ない。
〜〜っ!こんなところで何をしてるんだよ!

「ちょ、ちょっとガク!」

慌てるような立花ちゃんの声だけが確かに聞こえた。