死神、死神と出会う
(混合/漂泊)


 トラックに轢かれて転生した。生まれ変わったら、学生時代に書いていたブリーチ夢の女主人公になっていた。この時点でも既に血を吐きそうな思いだが、この主人公さんの設定がいかんせん手に負えなかった。
 まず、護衛十三番隊所属の死神。うん、まあ物語に関わるポジとしては珍しくない。続いて、貴族である。なんか四大家の分家筋らしいですよ。そして、浮竹や京楽とは幼馴染だ。欲張るな〜。だがまだある。十一番隊の平隊員で、普段は実力を隠し書類仕事にいそしんでいる。斬魄刀は、卍解までを習得済み。そろそろつらくなってきた。とどめに、平隊士は仮の姿。その実は零番隊の所属である。ちなみにこの零番隊、原作に出てくる方ではなく、夢小説おなじみの捏造設定である。ごちそうさまでした。

 さて、そんな立場に転生した私は、ブリーチの世界で百年程を過ごし、原作沿いの展開も無事見届けてのんびりしていたところ、ブリーチとはまた別の世界にトリップを果たした。それ以来、元の死神世界に戻ったり、他の世界に行ったり、戻らずさらに他の世界に行ったりといったことを繰り返している。いわゆる多重トリップというやつだろう。出来心でそういう妄想はしたこともあったかもしれないが、誰がそこまでやれといった! 学生時代の私の風呂敷の広げ具合には泣きそうになる。
 ともかくも、そんな生き方を何十年も何百年も続けてきたものだから、今回のトリップにもさしたる驚きはなかった。このところ、ファンタジー要素の濃い人外魔境世界続きだったので、アスファルトに塗装された地面や自動販売機が嬉しい。
 だが、しかし、ある意味ここは人外魔境だった。毎日がロサンゼルス、東洋のヨハネスブルグ米花町。


****


交差点のほかにも、事件があった場所を訪問してる(死神の仕事)ことに目を付けられてそう
美人だけどあんまり存在感がない(霊圧を押さえている)(儚げな印象を出すのに一役買っている)とかで


 交差点で両手を合わせる長い黒髪の少女に息を呑む。彼女は祈りをささげているらしかった。
 一度見たならば忘れることはないだろう美貌の持ち主。そんな彼女が死者を悼むような姿を見せていて、常世離れした美貌と相まって、生と死の境界線を歩んでいるような不思議な印象を受ける。
 いまからかれこれ二週間ほど前になるか、(事件あらまし)みたいなかんじでコナンサイド

「事故? いいえ、これは事故と見せかけた殺人事件ですよ」

たぶん点眼液をすり替えられて、車運転してた人が死んでしまった。
被害者が目薬を使用している事実を知っていて、それをすり替えられたのは犯人さんあなただけです!
ってよくあるぱたーん。

「事故じゃ、ないとおもいます」
音にすればそれは小さな声だった。しかし、はっきりと発音されたその言葉は、その場によく通った。

みたいな流れもあったんだよきっとそうだ。


 強い風に、彼女の長い髪が靡く。その中で、きらり、と何かが光った。
 まるで血の色のような、濃い赤の煌めき。あれは――。(いみしん)(霊圧制御装置である)

「……あなたは、あの時の」

 コナンの視線に気付いた彼女は、視線の高さを合わせるようにしゃがみ込み、見惚れるほどの笑みを浮かべた。

「ここで会ったのも縁です。ちょうどおやつの時間ですね、近くの喫茶店にでも入りましょうか」

そうしてポアロにて
「美人さんと一緒で羨ましいなコナン君、僕にも紹介してくれるかい?」
「ぼく、おねえさんの下の名前を知らないや」

共謀してフルネームきいてるやろおまえら

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