こころまい
 黒い液体が辺りに擦れてしまっている。彼の瞼は随分と泣き腫らした後のようで、ほんのりと赤紫色に変色していた。中原はたまらず舌打ちをする。つまらないのだ。何が、とまでは言わないが。
 彼の懐には芥川龍之介の河童が抱かれているが、染み込んだ涙でぐにゃぐにゃとふやけていた。ぐすり、と鼻を鳴らす音。
「……お前よぉ」
 そんなになるくらいならやめてしまえ、と言いきれない自分がいた。
 中原は顔色を陰らせている。己の抱く感情の名に、気付こうともしないで。

病的



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