こころまい
…………。
「その顔怖いからやめろ」
考えてるから邪魔しないでくれるかな。
「思案するといっつも生気の抜けた無表情になるよなおまえ。まるで塩気のねぇ鯖だ」
太宰と同類……?
「あいつは青鯖、おまえは塩気のねぇ鯖。わかってねえなあ」
納得がいかないのですが……。

思ったんだけど、
「ああ?この状況を打破する良い解決策でも浮かんだか?」
僕が人間そのものに興奮するのって君が初めてなんだよね。
「とんでもねえカミングアウトするのやめてくれ頼む」
僕人外愛者じゃなかったのかもしれない。
「くそ真面目な顔すんのは良いけどよ、言ってることは性癖の暴露だぞ?いいのか?」
そう思った我々はアマゾンへ飛んだ。
「ついていけねえ」
しかしやはりと言うべきか、人を見ても何も思わないしむしろ不快である。
「お、おう」
君は僕を盲目的にさせる何かを放っているのではないか?
「あー……恋は盲目っつう言葉もあるし、タブンそれじゃねーの」
それが本当なら過去の恋人達にもそういった感情を抱いているはずなのだが……。
「(ぴく)……」
今嫉妬したろ。
「ああ!?してねーよ!!」
したろ。
「してねーーよ!!!」

駆け落ち録
あのね、ちゅーやくん。
「あん?」
僕ね、先生に謝りたい。
「……」
なんて酷いことをしてしまったのだろう。
「……」
許されなくたっていいから謝りたい。でもこんなこと、前にもしたことがある。何回繰り返すんだろう僕は。僕って。
「……気づけただけ、万々歳じゃあねえか」
ちゅーやくん……。

「で、どうすんだ。帰んのか?」
……それはそれで……。
「嫌ってか?」
帰ること自体に抵抗はないよ。ただ、今のままだと君が悪人の扱いを受ける。そこが嫌なんだ。
「なるほどねぇ。オレは構わねーけどな。もとよりそのつもりで来たんだ」
僕が嫌なんだよ。
「へーへー」

駆け落ち録
きみのやさしさがあまりにもいたいよ。
「だろうな」
どうして。
「自分で言ったことすら忘れんのか?優しくすることに理由なんざいらねえのさ。おまえがそうであるように」
へんなの。
「ならおまえも変な奴だ」
……そうかな
「そうだ。おまえは変物だ」



あわいくびのわ たおやかににぎるてのひら
ばけもののこどう しじんのといき
やさしくくさりをほどいて

まあるくやさしくたいせつに

駆け落ち録
今日も一日お疲れ様でした。
「おーう」
誰とも会えない日々は少し寂しい気もするけれど。
「……おう」
それでも僕は幸せだって心から言えるんだぁ。
「……そうか」
ありがとう。
「…………(ぎゅぅ)」
んへへ。
……人を愛するなんて馬鹿らしい。誰も僕のことを理解してくれないって、思っていたからねぇ。
「寂しい奴だな」
そうだよぉ?僕は寂しい奴なんだ。だから僕をひとりにしないでね。
「……そうだな。オレじゃなきゃあ、おまえみたいな奴は面倒見きれねえだろうからよぉ」
ふふ。
「しゃーねーなあ」
これからも千代に八千代に、永遠に永久に、方時も離れることなく……隣にいておくれよ。
「言われなくても」
ちゅーやくんは優しいねえ。
「……どーだかな。おまえが思っているよりもずっと、オレは意地の悪い人間だぜ」
それでも僕の味方でいてくれるのならば、僕の中では優しい人なのさ。
「……けっ」

明日も早いからもう寝よう。
「そうさなぁ。次はどこへ向かおうか」
どこがいい?
「んー……地元に帰りてえ、ってのはある」
九州かぁ。
「は?東京だぞ」
君の中の地元は東京なの……?実家とかではなく……?
「実家はよぉ……」
ああ、あまりいい思い出がないと?
「そういうこった」
ならこのまま道なりに歩こうかな……でも東京……危なくない?本拠地じゃん……?
「……だよなぁ」
やっぱり山口県……。
「おまえが行きたいだけじゃねえだろうな」
やっべばれた
「何もねぇぞあんな所」
僕にとってはあるのさ
「ああ〜?」

駆け落ち録
ううーん今日も良き日でした!
「そうかァ?」
君がいるだけで毎日良い日だよー!
「…………チッ」
照れた時に舌打ちするのって癖なの?それともわざと?
「だーーーー!!うるせえ!!」
わかりやすいのがいけないんじゃないか
「黙れ!!」
黙る。
「ッ……それはそれで困るだろうが!」
面倒くせえなお前
「おまえにだけは言われたくねえ!」
お互い面倒くさい人ってことで一つ
「オレは認めねーからな!」
どうどう。
「茶化すな!」
どっどどどどうどどどうどどどう。
「風の又三郎ネタ急に入れてくんな!」

……あのさ。
「ああ?」
…………怒んない?
「何がだよ……つーかはよ服着ろ」
着ながら喋るね。
「先に着ろ。湯冷めすんだろ」
ありがとう。ちゅーやくんは優しいね。
「着たらとっとと喋ること喋れ」
ん。…………よし!
「で、要件はなんだ?」
いや、ミートパイとか今何してるのかなあって。
「……あー……」
どうしてるのかなあって考えちゃうよね。
「……まー、わからんでもねえな」
元気かなぁ……。
「達者でやってるだろ。おまえが押し付けた仕事をヒイヒイ言いながらやりつつ」
…………。
「じっ冗談だ!そんな顔すんな!あいつはあいつの考えがあってオレらを見逃したんだぜ!」

「あー!やめだやめだ!寝んぞ!」
ねむくない。
「寝るっつったら寝るんだよ!!」
今気づいたけどちゅーやくん小さすぎてバスローブブカブカだね。
「いきなり何言ってやがる喧嘩売ってんのかおい」
かわいいね。
「ぶっ飛ばすぞてめえ……」

駆け落ち録



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