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−流石は火の国……暑い。−
イラファートの首都、カノンスールは、流石火の国というべき暑さで、パーティー全員(一人除く)がへばっていた。
本当に、焼き殺す気か!!と叫びたくなるほど殺人的な暑さである。
しかしこの国は、側に工業都市であるグレイギアがあるお陰か、武器や防具など、物の質が良く、他にも機械などの歯車から様々な洋服まで、沢山の店が立ち並んでいた。
そしてこれも工業都市が側にあるからか、街には機械が流通している。
機械は、フォルトを消費しない替わりに、自然にある物を燃やしたりしてエネルギーを作り出す。
フォルトを消費しないのはいいことだが、燃やしてエネルギーを作る度に二酸化炭素を排出する。
結局は賛否両論だ。
もうひとつ、"根源機関"というものがあるが、説明はまた今度にしよう。
とにかく、品揃えが豊富なため、遠出の客らしき人が多い。
町の女性の話によると温泉があるらしく、美容と健康にいいらしい。
女子達はそれを聞き、挙って目を輝かせた。
そんな女子達が、買い物したい!!などと言い出したので、俺達は暫く自由時間を取ることにした。
……それにしても……暑い……。
じめっとしていないだけまだマシか……。
半袖に着換えたいところだが、残念ながら下着の換え位しか持ってきていない。
普段着位持ってくれば良かったかとも思ったが、南に来る気とか、全く無かったし……。
……街とかに入る気無かったし。
というか着替えるのもだるい。
俺のいる場所は、城下町の中心辺りにある、大きな噴水の前。
そこの噴水に腰掛けている。
といった方が正しいか。
他の男子は、大体俺の視界の範囲…まぁすぐに集まれる場所にいて、ひーとは、超ハイテンションで冷音に何か熱弁(?)をしており、冷音は無言でそれを聞きながら、本を読んでいる。
もはや慣れているといったところか。
真は……何か暗い。
いや、黒い服を着て来るんじゃなかったと嘆かんばかりの表情をしている。
……まぁ……、暑そうだしな、お前の格好。
雪「しーぐれさーん!」
……ん、やっと帰ってきたか。
……面子が一人増えてる。
?「あーっ!ひーちゃん!!」
その増えた一人が、聞き覚えのある声をあげ、ひーとが振り向く。
ひーとのことを"ひーちゃん"と呼ぶのは、一人しかいないだろう。
癖のある栗色の髪をハーフアップにした少女、鈴風 音波だ。
* * *
音「ひーちゃん!会いたかったよぉー!!」
炎「うわわわっ!!」
音波が思い切り抱きついたからか、ひーとは体勢を崩し、地面に尻餅をついた。
冷音は隣で起きた事を一瞬で理解し、にこやかに成り行きを見守っている。
雨「……何でこいつがいるんだよ?」
俺が、誰にでも無く聞くと、素早くあいすが答えた。
氷「買い物をしていたら偶然出会って、ね。旅をしているって言ったら、行きたいっていったから、連れてきたのよ。」
いや、連れてくるなよ。
これ以上人数増やしてどうするつもりだ。
氷「あら、大丈夫よ。戦力は多いに越したことはないわ。」
音「あたし、足手まといにならないようにするよ?だから、いいでしょ?」
いや、そういう問題じゃねぇし。
遊びじゃねぇんだから。
炎「音波。危ないんだよ?モンスターと戦うんだよ?」
ひーとも心配そうに、音波に問う。
音「大丈夫だよー。あたし、結構戦えるんだよ?これでも。ほら。」
そう言って取り出したのは、何の変鉄も無い、何かのおまけに付いていそうなヨーヨー。
炎「?それヨーヨーだよね?普通のやつ。」
音「やっぱり……そう見える?」
音波が何だか苦笑ぎみな顔をして言い、続ける。
音「実は、こうして……。」
彼女は、俺達が遊ぶときにするように、まずヨーヨー本体を下へと投げる。
すると、ヨーヨーが淡い光を帯びた。
音「こうすると……っ!」
次に、彼女はそれを噴水の縁へ投げた。
勿論、指に糸を嵌めたまま。
噴水の角にぶつかる寸前、ヨーヨーから刃物のような部分が飛び出し、カンッと音を立てて跳ね返る。
音「ねっ♪」
ヨーヨーを手で受け、音波は右目を瞑った。
彼女がヨーヨーを受けた時には、もう一見普通のヨーヨーに戻っていた。
確かに、あれを魔物とかその辺りにぶつければ一溜まりもないだろうが……。
音「で、合格?」
そして微笑む音波。
氷「ああ言ってるけど。」
雨「……はぁ……、もういい……。何かどれだけ増えても変わらねぇ気がするしな……。」
満面の笑みなあいすに、俺はそう返した。
音「やった♪これでひーちゃんと一緒だぁー!」
炎「ちょ、音波!」
それを聞いた音波は、またもひーとに抱き着いた。
余程嬉しかったらしい。
因みにひーとの顔は赤かった。
……はぁ……、とりあえずイラファート城に向かうか……。
[鈴風 音波がパーティーに加えられるようになりました。]
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