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−国王も熱い…俺のクラスの担任並みに…−
雪「あぁーーーもーー!!」
城の前に着いた途端、小雪が奇声を上げる。
それに驚いた桃花が、小雪に問いを投げた。
桃「どうしたの、小雪。」
雪「なんで宿屋全部満室なのよ!!ふざけんじゃないわよ!!こんなくそ暑い中何処で寝ろって言うのよーー!!」
雨「五月蝿い……。」
……いやマジで。
耳が痛い。
氷「小雪ちゃん?時雨が凄く嫌そうな顔で、五月蝿いって言ったのよ?少しは落ち着いて黙ったらどうかしら。」
顔に出ていたらしい。
まぁ、別に顔に出ていたところで困りはしないんだが。
だが、あいすがそう言ったところで、小雪が黙る訳もない。
雪「ならあいす!冷たい水出してよー。」
氷「嫌よ。」
雪「じゃあ冷音君、氷菓子ちょーだい?」
冷「……溶けますよ?」
あいすにも拒否られ、冷音にも拒否られ、小雪は口を尖らせた。
雪「えー、二人ともケチー!ケチんぼー!」
……とにかく、早くこの国の国王に謁見しよう…。
でないと俺の精神が持たねぇし……。
ついでに休むところの相談でも出来れば、小雪もおとなしくなるだろ……。
* * *
そして、国王の間。
国王であるイルデブランド・L・フラムフォードは、少し暗い色の赤髪をしており、豪快に笑う、焔の王と言う称号に相応しい男だ。
国王とひーとは知り合い(?)であるらしく、ハグをしたあと、彼がほとんどの話を進めてくれた。
後に知ったことだが、この国では親しい人にはハグをするのが挨拶らしい。
雪「ところで国王様ぁ。この町って、宿屋以外で休める所、無いんですかぁ?」
一通り、魔王の情報を得ると、小雪が痺れを切らした様に、国王に聞いた。
イル「宿屋以外……と言うと、どういうことかね?」
炎「宿屋さん、全部満室で空いてなかったんだよ。だからボク達、休む場所探してるんだ。」
国王が首をかしげ、ひーとがそれについて詳しく説明した。
国王は、暫く考えると、一人"よし"と呟いて続けた。
イル「部屋を用意させよう。用意が出来るまで、闘技場の控え室で待っていなさい。」
その言葉を聞いて、ひーとがこちらを振り返り、やったね!とガッツポーズをして見せた。
そして俺達は、闘技場の控え室へ向かった。
* * *
しかし、歩きながら見渡して見ると、イラファートには赤を基調としたものが多いようだ。
絨毯も、飾られている花も赤い花が多い。
なんとなく落ち着かない。
氷「時雨?どうかした?」
後ろからあいすが話し掛けてきた。
雨「……いや、別に。」
よくわからないが、また変な感覚がする。
来たことがないはずなのに、来たことがあるような…。
……デジャヴか。
……いや、それとは何かが違う気がする……。
何かを忘れている感覚……。
……記憶喪失?
確かに初等部3年……つまり4年昇格より前の記憶は思い出せないに等しいが……。
まあ正直、これは自分のおかしなところの一つだと思っている。
思い出せないっていうよりは、覚えているものが自分の記憶に感じないと言った方が正しいが……。
もちろんその中には思い出せないものもある。
特に友人の顔なんて、全く思い出せなかった。
…というより、あの頃はあいすとかの記憶や、知識とかすら自分の家族だとか、自分の覚えた知識だとは感じていなかった。
今はそんなことはないが。
これについてはただの記憶喪失っていうか……昔本で読んだ離人症?に近いものを感じる。
…そういえば昔、この現象に不安を覚えた俺はあいすに、本当に今の親父やお袋は、俺の親なのか?と聞いてみたことがあった。
あのときのあいすはなんとも困ったような様子で話題を反らして誤魔化したが……、よく考えたらその反応は肯定ということなんじゃないか……?
もしかしなくても、本当の親ではない?
……なら本当の親は一体?
……うん、なんだかまた頭痛がしてきた。
また違うときにでも落ち着いて考えるか。
今はとりあえず、提示された闘技場の控室とやらに向かうとしよう……。
* * *
…この時、俺も他の奴等も知らなかった。
闘技場の控え室に、思わぬ先客がいることを……。
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