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−本当…いい加減にしてくれ…。−

三体いたギガントロスの内、二体が倒れ、残るはロージーをのせた一体のみ。

岡「ワッターシのカワイイギガントロスを倒すなんて、いい度胸してマースネ!!」

戦闘中の勢いそのままに、ロージーが言う。

雨「いや、あんたが仕掛けて来たんだろ。」

…思わずツッコミが口に出てしまった。

龍「そうだぜ!!つか何で自分じゃ戦わねぇんだよ!?」

龍斗が殴りかからん勢いでロージーに怒鳴る。
…俺も、自分で戦わない理由には、少しだけ興味がある。
まぁ、返答によってもよらなくてもブッ倒すけど。

岡「ワターシは、自分の手を血で汚したくないだけデース!!だってぇ、こんなに美しい私の手が穢れたら、世界中のワターシのfanが泣いてしまいマース。」

聞くに耐えない理由だった。
聞くんじゃなかったわ…。
つーかテメェにファンなんざ居ねぇよ。
あとどや顔すんな。
それと今ので殴るの決定。

真「あなたの手はとっくに、十分汚れている。」

真が珍しくピシャリと言った。

狐「アンタ…これだけ物壊しといて…汚したくないなんてよお言えるわ。少なからず負傷者も出てんねんで!?」

狐は最早、怒り心頭といったところで、言葉の最後の部分で声を荒げた。
だがロージーは反省する素振りも見せず、俺達を文字通り見下したままこう返した。

岡「これはギガントロス達が勝手にやったことデース!!ワターシにはカンケーアーリマセーン!!」

…こいつ…命令してたよな。
責任転嫁も甚だしい。
大体、ペットも使い魔も召喚獣も、主の責任下だったよな。
こいつは教師なのに、そんなことも理解してねぇのか。
大体、こんな惨状でよくもそんなことが言える…。

もうそろそろ堪忍袋の尾が切れそうだ。

雨「あんた…降りてこいよ。今すぐ。」

岡「嫌デース!ワターシは愚民と同じ大地には立ちまっセーn
?「ほーい時間切れ!!」

ビックリした…。
聴こえてきた声の発生源は、ロージーのすぐ横に現れた。

テレポートの能力のようだ。
……いや、あれは大きな穴から体を出している……?
テレポートじゃないのか……?
…なんかこう…違う感じで。
空間に黒い穴が開いて、そこから飛び出す感じだ。

外見はひーと達と同い年かそれ以下。
青紫色の髪に朱色の目をしている。
一見すると性別がわからないが、その軍服ワンピースのような服装から、たぶん少女だとは思う。

見覚えはなかった。
多分全員が"誰?"という状態だっただろう。

少女?「バカモト遊びすぎ!!」

岡「Σ誰がバカモトデスカ!!」

ロージーは驚きのあまり硬直していたが、少女?の"バカモト"という言葉に反応し、激怒した。

炎「バカモト…。」

龍「バカモト…憐れだな…。じゃなくて!誰だよテメェ!!」

バカモトとは…いい得て妙だな。
龍斗が少しロージーを哀れんだ後、少女?に怒鳴るように問う。
少女?はこちらに顔を向けると、にこり、と笑みを浮かべた。

少女?「オイラの名前?えっとね…うーんと…確か今はシャロンだったかな?」

にゃはは、とかまた特徴的な笑い方をする少女、シャロン。
その笑い方は、猫の亜獣人に近いものを感じた。
耳は生えていないが。

シャ「とりあえず帰るよバカモト!!」

岡「バカモトじゃないデース!!何度いったら分かるんデスカ!?それにワターシにはまだ仕事が…」

シャ「まぁまぁ。」

岡「まぁまぁじゃないデース!!」

ロージーは怒り狂っているようだ。
ましてや周囲の建物が倒壊しているため、声がよく通る。

シャ「ちょ、ちょっと暴れないでよバカモト!!」

岡「ワターシは仕事を投げ出さない主義なんデース…!!」

よくわからないが、何やら押し問答が起きており、シャロンが無理矢理、ロージーを抱えて連れて帰ろうとしているようだった。

炎「ねぇ…あれって…助けた方がいいの?」

ひーとが訊いてくる。

雨「…放置でいいんじゃね?」

面倒だし。
助ける義理もねぇだろ。

シャ「あーもうっ!!ちょっと見てないで手伝ってエレミール!!」

シャロンの声が響いた。
しかしまた聞いたことのない名前だな。エレミールって誰だ?

?「はいはーい!ありゃりゃ、てこずってるネ〜。しょーがないなー。あとエレンって呼んでヨ。」

呼ばれた人物らしき少女は、またも空中から現れた。
先のシャロンって言う少女が出て来た穴から、飛行して飛び出してくる。

岡「何故あなたが!?」

エレン「あのクソ宰しょ……まおーサマの命令に決まってるっしょ。もう必要ないんだヨ。調査も、ーーも。ってことで…浮き上がれぃ!!グラビティ・エア!!ほら、さっさと放り込むっ!!」

シャ「サーイエッサー!!」

そう言うとエレミールは、運びやすいようにかロージーを術で浮き上がらせた。
…なるほど、磁属性か…?
しかし遠すぎて一部分だけ台詞が聞き取れなかった…。
調査と何が必要ないんだ?
それに何か言いかけたような気がするんだが。
エレミールの掛け声で、空中でバタバタとわめくロージーをシャロンが例の黒い場所へと放り投げる。
すると、ギガントロス達も、ようやく仕事が終わったとでも言う表情で消滅した。
主人がその場所からいなくなったからだろうか?

シャ「ふう…。」

エレン「何ひと仕事した顔になってんの。ほら、帰るヨ!!」

シャ「アイアイサー!!」

エレミールに言われ、シャロンは穴の中へと姿を消した。
何て言うか…ついていけないな。

エレン「キミたちがシュー君の言ってた子達?ごめんネ〜、岡ちゃんは責任をもって始末しとくから!」

エレミールは下に降りてくると、顔の前で手を合わせる動作をとり、謝った。
背中には小さな蝙蝠の羽の様な物が付いており、地面に足はついていない。
……浮遊能力か?
あとシュー君って誰だよ。
…まさかシュペリ?
いや、無いよな。無い。

氷「…慣れているから平気だけれど…。」

あいすが困ったような顔をしている。
そりゃあ…な。

エレン「あぁ、誰って顔してるネ。エレンは、エレミール・アスモデウス。ナイトメア帝国軍Blason Noirブラソンノワール……キミ達の言う魔王軍で、七帝刄しちていじんやってまーす。よろしくネ♪」

…なんだと…。
さらっと爆弾投下されたんだが?
魔王軍の七帝刄って言えば、さっきイルデブランド陛下が言ってた、魔王が従えてる、言わば魔王軍の幹部みたいな奴等の事じゃないか。
そんな奴がなんだってこんなところにいるんだよ。
…いや、遭遇する可能性っていうのも確かに考えていはいたが、こうもすぐに出会でくわすとは。
そして、Blason Noirブラソンノワールっていうのは、どうやら魔王軍の正式名称らしかった。
……けど魔王の軍なんだから、とりあえず呼びやすいし魔王軍でいいよな…。

あとこっちに向けてウインクを飛ばすな。
俺の後ろにいる冷音が若干怯えたんだが。
冷音の反応からして、知り合いというわけでもなさそうだ。
とりあえず、魔王軍であることに代わりはない。
戦闘になるのかと全員が身構える。

エレン「むっ……。あーあー、今日は戦う気ないヨ。キミたちまだ弱いしー。」

一つ何かムッとして、また上に浮遊していったエレミール。
しかし彼女は続ける。

エレン「…でも…いつか、戦う日が来るかもネー。」

シャ「ちょっとエレンー!!早く帰ろうよ!」

先ほどの穴からシャロンが顔をだし、エレミールを呼び付ける。
一瞬どっちの能力なのかわからなかったが、やはりあっちの少女の能力らしい。

エレン「はいはい今行くヨ!!うーん、もうちょっと話してたかったんだけどナー……。まあ、また会う機会もあるか。そのときまで、じゃーね♪」

そう言うとエレミールは手を振りながら穴の中に姿を消した。
その場に、"アハハハハ"という笑い声だけが残る。
穴は彼女が入ると同時に閉じていた。
何事もなかったかのように、そこには青い空が広がっている。

雪「…なんだったあの人達…。」

小雪が疲れた様な声を発した。

龍「ま、敵ってことには変わりねぇんだろうけど…毎回あれじゃ…疲れるな。」

雪「今回ばかりは…龍斗のいう通り…。」

小雪に続き、全員が頷いた。
…本当に、やけにテンションの高い連中だったな…。
その日は、壊れた建物の復興を手伝う内に日が暮れ、城で部屋を借り、休息をとった。
…そういえば…あのシャロンとかいう奴の能力は本当に謎だった。
俺もそういう空間移動系の能力に心当たりはないというか…まぁそもそもがあまり詳しくない。
今度その手の能力に詳しい友人にでもメールで聞いてみよう。




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