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理「…ってぇ…。」
後頭部を押さえて起き上がる理美火。
つかってぇ≠カゃねぇよ…。
…室内で大規模な喧嘩するからだよ。
家が吹き飛んでないどころか傷ひとつついてないことが奇跡だ。
氷「少しはスッキリしたかしら?」
理「…ああ、うん、その…ありがとな。」
一足先に立ち上がって埃を払っていたあいすが、微笑みながら理美火に手を差し伸べる。
どうやら理美火のストレス発散に一役買った事になっているようだ。
現にスッキリはしたようで、理美火は落ち着きを取り戻した様子だった。
龍「お前ら…血の気多すぎだぜ…。」
いつの間にか買い出しから戻ってきたらしい龍斗が荷物を抱えたまま、リビングの入り口で呆れた顔をしている。
彼には買い出しへ行って貰っていたので、こうなった経緯が解らないだろうから仕方無いんだが…。
理「テメェにだけは言われたくないわ!!」
間髪入れずに理美火が怒声を飛ばした。
…だろうな。
そう言うと思ったよ。
龍「おー怖えー怖えー。」
テーブルに買ってきた物を置いて、半笑いしながら龍斗が引っ込む。
理「アホ龍斗め…後で覚えてろ…。」
その様子を理美火は、半眼で見つめており、その怒り具合からこのあと龍斗の身に降りかかる災難が読める。
…多分あれは口論の末にバルコニーから投げられる感じだろう。
龍斗、生きて帰れよ。
炎「と、ところでお姉ちゃん。今回はどれくらい家にいられるの?」
ハッと我に返ったひーとが、怖ず怖ずと問う。
理「ん?んー…そうだなぁ…決めてなかった。」
考え込む理美火。
というかお前決めてなかったとかそれ以前に何で毎晩家にいてやらねぇんだよ…。
長期休みの時くらい居てやれよ…。
…待てよ…?
…ひーとが一人嫌いなのってまさかこれのせいもあるんじゃ…。
理「…ひーとはどれくらいいてほしいよ?」
炎「んー、やっぱり…ずっとかなぁ。」
理美火の問いにそう答えるひーとは、何だか寂しそうに見える。
…あぁ、やっぱりこの線が濃厚か。
こんな顔させちゃ、断れる訳もないよな…。
理「…そ、そっか。 …因みに時雨たちは何でうちに泊まってんだっけ?」
彼女はまたも話を逸らした。
…この流れで訊かれるとは思わなかったよ。
炎「元々は旅してたんだけど…ボクが無理言って戻ってもらったんだよ。それで、独りがさみしいから泊まって貰ってるの。」
理「…ふむ…。」
ひーとがフォローに入ってくれた。
更に考え込む理美火。
雨「…俺達に気を使うようなことはしなくていい。少ししたら出るつもりだったしな。」
まぁ、気を使うなんて事はないだろうが、念のため言っておく。
ひーとは今にもなにか言いたそうな顔をしているが…なんとなく内容の想像はついている。
置いていかないで、と目で訴えている。
理美火の気質を考えると…、彼女はついてくると言い出すかもしれない。
そうなれば、ひーとを残していく場合、彼は一人になってしまう。
…けど…この状態のひーとを連れていくのは…。
理「…よっし。」
勢いよく立ち上がる理美火。
理「あたしもお前らについていくわ。んで、ひーとも一緒につれていく。」
…ほら思った通り…って…は?
雨「おい理美火…お前。」
理「わかってるよ。」
ひーとの精神状態考えて言ってるのか、と俺が言い掛けたところで、彼女は遮るように言い、続けた。
理「今の状態じゃ、ひーとは危ないかもしれない。けど、ひーとを置いていく方がもっとヤバイ可能性があるんだよ。
魔物が来た時にひーとが動けないようなら、その分あたしが働く。
それに、あたしがお前らについていけば、ひーととも一緒にいられるし、適度に魔物も狩れる。 一石二鳥だろ?」
雨「…ひーとを置いていったら危ない…?どういうことだ…。」
理「………。」
気になった言葉を突き詰めて問うと、彼女は静かに首を振った。
理美火が黙るのは珍しい上、話したらいけないとでも言われているのか、申し訳なさそうな顔をしている。
理美火の隣ではひーとが不思議そうな顔をしているし…。
…これ以上聞かない方が良さそうだ。
雨「……はぁ…、わかったよ。 けど…、魔物を狩る方に重点置いて、ひーとをほったらかしにしたら、只じゃおかねぇからな。」
理「わかってるって!」
…思わず溜め息を吐いてしまった…。
勢いで了承までしてしまったが…俺の独断で決めてよかったんだろうか?
とにもかくにも、理美火が加わったことで、ひーとも少しだけ元気になったようだ。
それによって、俺達も賑やかになったのは、いいことかもしれないな…。
…しかしさっき説教してた時に、あいつ、本当になんか隠してる感じだったけど…いったいなんだったんだ…?
…まぁ、そのうち聞いてみればいいか。
[火鳴 理美火が一行に加わりました]
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