3


…何故俺がいじめ主犯を殴り飛ばし、この人に怒られたかはそのうち語るとして、まずはこの人の素性の話をしよう。

クロノア・ディ・シュトルツ。
この人は歴史、古代語基礎、空間術、刻術の担当教官をしつつ、俺達の部活の顧問をし、中・高等部の女子寮の寮長もしているとんでもない人物である。
俺達が初等部五年の時期にレクライア入りした彼女は、友達のような先生として慕われている反面、一部の生徒からは恐れられているという。
あの学園一の不良の代表格である龍斗ですら「ノアセンセー」と呼ぶほどなのだから、多分そっちでも相当有名なんだろう。
…俺もこの人の恐ろしさは知っている。
以前志苑から、前の職は暗殺者だったと聞いたことがあるが、「それは辻倉くんの冗談だよ」とすぐに本人から誤魔化された。
…ただ、背後に立たれても全く気配を感じなかったり、素手のタイマンで高等部3年の、そこそこガタイのいい男子生徒を伸したことがある他、レクライア圏内に侵入した不審者の始末を行っているなど、結構な伝説があることから、その「実は元暗殺者」という情報も、あながち間違っていないのではないかと思えてくる。
…余談だが、志苑とはレクライア入りする前からの知り合い…というよりはご親戚らしい。
…なるほど、何となく雰囲気が似ている。

尚、普段はこの通り「水森くん」「辻倉くん」と苗字で呼んでいるが、部活時や普段遭遇したときなどは、普通に下の名前で呼んでくる。
多分そこも、"フレンドリー"何て言われる要因のひとつだろう。

「今日は余裕の到着だね。うんうん、えらいえらい!」

クロノア先生は満足そうに笑う。
……さっきも翼に言われたが……俺らそんなにぎりぎりの登校してたか……?

「僕が一緒なんだから、そんなギリギリにはさせないですよ。」

志苑が目を細める。
するとクロノア先生が首を傾げるような動作をした。

「あれー?でもこの前すっごいギリギリでホームルーム入りだったの見たけど?」

「ギクッ……」

押し黙る志苑。
まぁ、ついこの前にギリギリだったときはあったな。

「ま、間に合ったんだから……いいじゃないですか。」

「そりゃあ悪くはないけど、珍しいなぁと思ってね。」



- 3 -

*前次#


ページ:



[学園入口へ]
[topへ]
[別館topへ]