■ あとがき+あれこれ

 ……というわけで、完結です。
 お付き合い下さりありがとうございました!

 蛭魔くんを猫可愛がりしたい!という欲求をWordに叩きつけてきましたが、こうして無事、「完」の文字を入れることが出来ました。

 いつも学校やフィールドで見せている、悪魔でも策士でもない蛭魔くんが見てみたいなぁ、と思ったのが書き始めたきっかけでした。
 アメフトの事を全く知らない……アメフトともデビルバッツとも高校生活とも接点の無い、そんな「彼の日常」とは全く絡まない「ふと出会った変な奴」相手になら、いつもと違う顔を見せてくれるんじゃないか。そう思って主人公に酒を飲ましてみたら、見事なまでに彼女は暴走を始めました。
 その後、「蛭魔くんに美味しいものを食べさせたい」「食に重点を置いていなくて、ともすればジャンクフードやカロリーバーで済ましているだろう蛭魔くんに、愛情いっぱい栄養いっぱいな手料理を振る舞う恋人が居て欲しい」「蛭魔くんの強がりをさらっと流して抱きしめてくれる恋人と、そんな恋人に甘える蛭魔くん!」等の萌えが詰め込まれた結果、あのような形になりました。
 今回の蛭魔くんは、基本的にはアメフト命で、アメフトとプレーするに必要な環境(学校内等)では抜群の悪知恵や策略をめぐらせ、搦め手も頭脳プレイもなんでもありですが、逆にそれらの要素が絡まない点では「無駄な労力」「無駄な手間」は一切かけない人になっています。
 なので、アメフト要素の絡まない主人公へはストレートにデレる!
 傍に居られる方が自身の心身的に楽だし快適だと判断すれば彼女相手に無駄な波風は立てませんし、その快適な現状を維持するために大事にします。と、蛭魔くん本人的には合理的に行動しているだけのつもりなのですが、傍から見るともの凄くデレデレです。
 その最たるものがアメリカ合宿中のメールかな、と。デスマーチ中は一切構う気が無く(←アメフト命のストイック万歳!という管理人の萌えポイント)、でも在米中や帰国後に拗ねられても面倒だし、喧嘩とか破局とかは勘弁したい。……よし、行く前に一月分の置き餌でもしといてやるか!的な発想で実施することにした、という自覚に基づいての行動の筈なのですが……おやまあ何という事でしょう。マルコあたりに知られたら、きっと思いっきり指さして笑われるくらいにはデレ甘な行動です。
 ……という、予想される面倒と後々の手間を避けようとしたら、結果ひたすらにストレートに甘くなってしまう蛭魔くん(大概は無自覚)をお送りしました。


 連載としては思いの他長く続く形になりましたが、15話のどぶろく先生との場面が、実は一番書きたかったところなのかもしれません。
 →暴君なところも悪魔なところも、目を瞑ることなくしっかり認識した上で、その他もろもろの顔もひっくるめて「蛭魔くんが大切」「蛭魔くんが可愛い」と思いを向ける主人公。そして、そんな恋人を得難い宝のように思う蛭魔くん。そして何より……そんなふたりに気が付いて、ひとり「ほう」と目を細める年長者……ああ、どれだけ蛭魔くんてば愛されているのかと……!



 とまあ、こんな感じで全くまとまらないままですが、これにて後書き終了とさせていただきます。
 こんなところまでご覧いただき、ありがとうございました。



[ 感想箱 ]



(とはいえ、エピローグとの表記も怪しいくらいに、まだまだ終わらないラストになっています。)
(彼らの日常と恋物語はまだまだ続いて行きますし、短編も相変わらずの固定キャラクターでやっていくつもりなので、実の所全然エンドではなかったりするのですが。)


………以下、ご質問いただいたこととかあれこれ………
(でも本当のところは、お好きに読んでいただけたら本望です)


・蛭魔の進学先:最京大学とは。
 この連載では京都です。きっと京都です。京都のつもりでやっています。

・年齢について。結局のところ主人公は幾つなのか。
 セナ入学後のデビルバッツ黄金時代で大学4年生のつもりです。でも就職のこととか話題にしていないので2
〜3年/院生のつもりで読んでいただいてもいけるかと。
 実は当初は社会人のつもりで考えたのですが、幾らなんでも高校生相手の夢としては歳の差が過ぎるかなと(社会人が未成年に手を出すしがらみとか、そういう話になっちゃいそうだったので)、制約が少なく、より身軽な大学生主人公になってもらいました。飲み慣れてるのはその影響です。
 で、蛭魔の受験と主人公の就職を重ねたくなかったので、3年生という選択肢を外すことにすると……もう必然的に4年生にするしかなかったという……。
 短編ではあんまり意識せず、前述の通り3年生だったり4年生だったり、または院生とかでもいいんじゃない?というアバウトな感じで書いています。

・15〜エピローグの間 空白の1年間
 お互いに忙しい、というより新入社員の主人公側に余裕が無くてちょっと連絡が途絶えがちになったり。でも大学生活の下見とか言いながらちょこちょこ蛭魔が会いに来てました、という感じでどうでしょうか。
 記者会見に潜り込むために単身アメリカに行くような彼なら、最近連絡が途絶えがちで余裕も無さそうな彼女を抱きしめるためだけに京都に行くくらい、軽いはず。

・エピローグ補足。
→壁に耳あり障子に目あり。
 隠し事や秘密が、どこからか漏れるのは当然として。更にある程度の居住年月があると、「誰々の娘さんが…」「何処そこのお孫さんが…」とか言われるのは常ですよね……という。たとえ対象が成人していても。しかも、そういう人々は「そういえばお宅のお嬢さんてば最近…」とわざわざ本人の家族の耳に入れたがる傾向があるそうで。
→「狭い街」発言。
 観光ではなく生活しようとすると意外と目的地や地区が限られるので、顔見知りに遭遇する可能性もぐんとアップ。すると前述の事態に一直線。
→社会人なのに、親を気にするってどうなの。
 親離れ子離れのアレコレではなく、前述のようなご近所さん付き合いへの意味合いが大きく。
→蛭魔が挨拶とか言ってる!?
 蛭魔としては在学中はもちろんその後も主人公を手放すつもりなど毛頭無いので、主人公の家族を無下には扱いません。結構気を回してくれます。
→主人公、いつ就活していた?
 4年制大学の4年生だというのに、就職活動を意識させる描写は全く無いのは、蛭魔に見せないからです。
 それでもちゃっかり地元企業への就職が決まっているという非常に羨ましい子ですが、別に蛭魔があれこれ手を回したわけでは無く当人の努力です。
 (蛭魔ならデータを改ざんするなりごり押しするなりして、そこそこの大手企業に新卒を1人ねじ込むようなことでも、頼めばなんとかしてくれそうです。が、そう言う所で蛭魔を当てにしないところが、このふたりの関係では大切なのかな、とか妄想)

・書きたかったけどお蔵入り、なネタ
→蛭魔父の初接触 バー編
 行きつけのバーに主人公が一人飲みに行ったら、横に座った客が蛭魔幽也だった。(当然、調査済みでやって来た蛭魔幽也による仕組まれた出会い)
→蛭魔父の初接触 料亭編
 迎えを寄越すからいい服着て待っていろ(意訳)というお手紙が届く等、有無を言わせない用意周到なお誘いの後、連れて行かれたのは高そうな料亭。
 「うわぁやっぱり未成年に手を出したのは不味かったか!」「そりゃ、毎日のように他所宅で夕飯食べてちゃ不味いよなぁ!」と内心冷や汗だらだらの主人公。
 対する蛭魔幽也の胸中は「(最近冷たい)愛息子の恋人とご飯♪」「あいつも大事な人を見つけたようだ♪」とか浮かれ調子。でも表情に出ないので主人公は気が付かない。
→蛭魔父との交流
 愛息子に嫌われまくっている蛭魔幽也、愛息子の恋人を可愛がるの巻。ご飯を食べに連れ出しては、幼き日のマイエンジェル(愛息子)の写真を見せて猫可愛がりトークをさく裂させる蛭魔幽也。
 すっかり慣れて蛭魔トークを始めこの状況を楽しむ余裕のある主人公。食いっぷり・飲みっぷりのいい主人公におじさんさらに大満足。
 ああ、こんな娘が欲しかった……!と胸中はガッツポーズで感涙の蛭魔幽也氏(でも相変わらず表情にはあまり出ない)

・主人公設定について(あくまで当初の)
→地元
 京都。大学通学のため東京に来た(「上京」とは言わない関西魂)。
→恋愛経験
 制服時代から年上男性との恋愛経験がそれなりにあり、定番のデートコースとかイベントとかは一通りこなして来たという流れがあるので、そういった「理想」への期待はない。部活(アメフト)命の高校生の恋人相手にがっついたり、むやみに失望したり不満を唱えなたりしないという、歳の割にがつがつ&空回りしない都合のいい恋愛観はこの辺に由来する。
 稼いでいる社会人の恋人からの贈り物は勿論喜んで受け取るが、恋人とはいえ年下の高校生からの「ちょっと値の張る贈り物」は心底困ってしまう価値観。
→勉学
 ひとり暮らしがしたかった以上に、講義内容や教授陣に惹かれて遠くの大学を選んだ人。
 持ち前の熱心さに加えて、費やした時間とお金の元は取らなきゃ損とばかりに真面目に学生生活を送っている。講義・レポート・個人研究等にも嬉々として取り組む上に要領がいいので、研究室や教授陣からの覚えはよく、上回生や院生からも好かれて来た(このパターンから恋愛に発展するのもお約束)。
→家族
 基本的には「この親にしてこの子あり」な性格が集う家庭。「威嚇」に重点を置いた蛭魔の容姿・発言を目にしながらも、かなり好意的に接してきたりと一筋縄ではいかず、さすがの蛭魔も少々困惑気味。いざ対面すると、蛭魔のペースや計算は高頻度で狂う。(けれど、それも嫌じゃないという蛭魔氏。嫁家族にデレデレ)
→相手の呼び方
 基本的には「蛭魔くん」ですが、気分次第で何とでも。友人相手にガールズトークのノリで惚気る時などは「よーちゃん」「にゃんこ君」など好き勝手に呼ぶ。
 序盤の「アメリカンフットボール」など慣れない事柄はわりと略さない。「蛭魔くん」「溝六先生」等、名前もあまり略さない&漢字発音の多い人。(通常、キャラ同士は「ヒル魔」「どぶろく先生」と呼んでいるところ)



(2014.06.17)
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