34その後根付さんから「東隊長の協力が得られたので翌日の
狙撃手合同訓練でヒュースの件の噂を流す」という通達が来た。
頼さんには噂をさらに拡散するように指示が出されており、訓練参加を義務付けられた。
そして例の写真の噂については、風間さんが1枚噛んでくれる事になった。
個人ランク戦をしに行った時に
攻撃手や
銃手に広める事になっているそうだ。そういう話題に一番興味がなさそうな風間さんが話す事によって信憑性が増すというものだ。
依織さんと風間さんは同い年で仲がいい。
依織さんがポロッと写真集について言ったことを風間さんが聞いてそこから話が回った、という事にするようだ。
私達はその話を知った隊員達から聞かれたときに、
「詳しくは言えない」
「それは正式には決まっていない話」
「まだ企画段階」
とでも答えておけば良いらしい。
そんなわけで私と頼さんは狙撃手合同訓練に参加していた。
すでに二つの噂は回っているようで、いつになく訓練室は騒がしがった。
「元村さん!宮木先輩!写真集出すって本当ですか?!」
1番に話しかけてきたのは嵐山隊の佐鳥君だった。
「賢、もう聞いたの?早いね」
「嵐山さんが風間さんに聞いたって」
「なるほど、依織さん喋ったな……」
「……ですね」
3人で口裏を合わせるように話す。
佐鳥君はもちろんこの話の全容をしっている。そもそも入隊式の私の変装から知っている。
「なんか写真集水着あるって!よく宮木先輩オッケーしましたね」
「……まぁ、そこらへんはまだ企画段階だから」
言葉を濁す。
本当に企画段階で水着だけば是非とも無しにしてもらえるように動くつもりだ。
前に嵐山隊の藍ちゃんがしていた時は凄い!と尊敬したものだ。
「それより、玉狛の新人の事聞いた?」
頼さんがC級隊員の視線が集まってきている事に気がつき、例の噂の話をする。
「聞きました聞きました。なんかクローニン
班長の親戚らしいですね」
佐鳥君と話しているようで、周りのC級隊員達に聞かせるために話す。
「そうなんだ!やっぱり名前が一緒だからそうだと思った!」
私はそれを知らないふりをして驚くだけだ。
しばらく他の隊員達と話をした後、訓練を受けた。おそらく狙撃手のC級隊員達には上書きできたと思う。
訓練が終わった後も噂がどれくらい広まっているか確認するために、真野隊全員でラウンジに集合する予定になっている。
狙撃手合同訓練の最中、依織さんとカンナは個人ランク戦をしに行っていた。
そこで噂を広めているはずで、カンナは風間さんと模擬戦が出来る!と嬉しそうにしていた。
依織さんは辻君に久しぶりに稽古をつけてやる、と辻君を誘ったそうだ。
真野隊の身の切る作戦は何としてでも成功させなければならない。
そう、例え誰か1人にとんでもなく怒られたとしても。
頼さんとラウンジに向かっている最中、ポケットに入れた携帯がずっと鳴っている事に気づいていた。
気づいていて、無視していた。
「尚美……出た方がいいんじゃない?」
頼さんも気づいていて黙っていたが、流石に長時間鳴っている事に黙っていられなくなったようだ。
「出たら怖いので、気づかなかったふりをします」
「……まぁ、たしかに」
頼さんも相手の予想はついているようだった。
「ん……私もだ」
頼さんは携帯を取り出し、電話の相手が誰か確認する。
「げっ、二宮……」
頼さんは嫌な顔をした。
「私にかけてくるとは……ちょっと出てみる」
頼さんはさっと通話ボタンを押した。
「はい、何?」
私と話していた時とは違い低い声で話し出す。
「え?いないよ?……うん、知ってる」
「依織さんがオッケーしたんだから私はなんにも言えないよ」
頼さんは眉間に皺が寄った状態で話をしている。
頼さんは怒っても絵になる美人だか、目元が少しきついので威圧感が出る。
実際周りの隊員は頼さんと私を避けるように歩いてた。
「知らないよそっちのことまで面倒見れない」
「文句があるなら直接言いなよ……うん」
「え?尚美?……いるけど……」
自分の名前が出た事でビクつく。
これは二宮さんにも怒られるやつだろうか。
「うん、わかった。伝えとくから。はいはい」
頼さんはそう言って通話を切った。
「あの……二宮さんなんて?」
「ん?まぁ、写真集怒ってたよね。依織さんに直接言えないからって私に文句行ってきた」
頼さんは同い年の二宮さんの事を少し雑に扱うところがある。
今回の電話も全く何とも思っていなさそうだった。メンタルが鋼のようだ。
「で、尚美電話出ろってさ」
頼さんは変わらず鳴り続ける私の携帯を指差して二宮さんの伝言を伝える。
「
こっちの業務に差し支えるんだと」
「はっ、はい……」
二宮さんに言われてしまえば、言うことを聞かざるを得ない。
相手はきっとそれを見越して二宮さんに頼んだであろうことは想像できる。
みんなでラウンジに行くことを諦めて、電話に出るのだった。
「もしもし宮木です……はい、携帯をカバンに入れっぱなしにしておりまして……はい、遅くなってすいません……」
読んでも読まなくてもいいおまけ↓
出来れば初回は読まない方がいいかも。
33.5