りっく おあ とりーと?



──世間の流行りに乗りたいわけじゃないけれど。


なまえは、目の前の鏡をじっと見つめた。
絶対に自分では買わないような、ミニスカートのワンピース。おあつらえ向きに、ニーハイソックスと、小さな魔女帽子がちょこんと備え付けられている。んん、と唸ってはその鏡から目を反らし、またちらりと見てを繰り返す。


──せっかくのハロウィンなんだから。


そう言って、いらない、と断るなまえの言葉を無視してぐいぐいと珍妙な洋服を着せ、満足したように去っていった友人の言葉を思い出す。


──きっと、喜ぶって、ね!


「…喜ぶかなぁ」


俗世のイベントごとになど興味のなさそうな恋人の顔を思い出し、なまえは深くため息をつく。そして、もう一度ちらりと鏡を見た。やはり、何度見ても、この自分の姿はいたたまれない。


「…やっぱり、脱ごう…」


恋人が帰ってきてしまう前に。この姿を見られてしまう前に。
そうして床に散乱していた、元着ていた洋服を手に取った、その時。ガチャリ、とドアが開く音がして、なまえはザッと血の気が引いた。開いたドアから顔を覗かせたのは



悟浄 / 三蔵 / 八戒