大腸がん体験記top>手術前のお話>癌の告知
***癌の告知***
▼まるで世間話するような癌の告知
入院してから一通り検査もおわり、病院がお正月休みなので結果は出ないしやることもなくて、病室でぼんやり過ごしていた年末。
フラッと内科の担当医が入ってきました。
その時は、病室には私一人でした。
なぜ腸閉塞がおきたのか、その原因を調べるために大腸カメラで腸の中を見たんだけど…
と、話し始めました。
やっぱり原因があって、デキモノがありました、と。
「ポリープですか?」
と聞くと
「癌だと思います。」とあっさり言われました。
検査結果が出ないので本当は確定はできないけど、見た目でまず間違いない。
治療の選択肢は手術以外にはありません
とも言われました。
私の場合は
s状結腸癌です。
癌があるために大腸内がとても狭くなっていて、便がほとんど通過できないので良性の腫瘍だとしても手術で切除するしかないのでした。
癌の告知って、家族が呼ばれたりしてちょっと仰々しく行われるイメージだったので、そんな世間話みたいに「大腸がんだよ」と言われたことが驚きでした。
今思えば、深刻な病状ではないから気軽に話せたのでしょうけれど、その時は
「癌て…どうしよう、どうしよう」
と、軽くパニックでしたね。
日を改めて、家族を同席しての説明はあったのですが、年末年始で検査結果が出るまでに何日もかかるので、たぶん医師は私に気を使ってくれたのでしょう。
そう言われれば、癌だと思い当たるフシはありました。
大腸カメラの時には、せんせい達がモニターを囲んで、全員無言でコワイ表情で見つめていて妙に感じましたし、
身内に大腸の病気の人がいないか聞かれたりもしましたから。
ただ、私はニブイので癌かもしれないって思わなかったんですよね。
▼昔は癌は本人に秘密だった
若い年代の方には考えられないかもしれませんが、以前は本人に病名を伏せたまま、癌の治療が行われていました。
余命も本人には宣告されず、患者は病院に不信感をもって疑心暗鬼になってしまう、みたいな医療ドラマもよくありましたが、実際その通りだったのではないかと思います。
現代では癌が本人に告知されるのが普通ですが、そうなるまでには紆余曲折してきたのですね。
余命が短いとなると、「どう生きるか?」が大切なのに本人に秘密にしていては、
本人がそれを考えることができない。
それで、癌を本人に告げるべきかどうか、
議論が盛んな時代を経て、今に至っています。
もちろん、医療が発達して癌を治せるよいになった、というのが大きな理由だと思いますが、それよりも患者と医師に信頼関係がなければ治療が成り立たないでしょうし、
隠し事をした状態では充分な治療ができないからだと思います。
そもそも、本人に隠し通すこと自体無理がありますよね。
故・逸見政孝さんの癌告白記者会見を覚えておられる方も多いと思います。
私は逸見さんが大好きだったので、あの記者会見は今でもよく覚えています。
癌のことをいろいろと調べるうちに、逸見さんの担当医に対して批判的な意見があることを知りました。
でも、当時と今では時代背景がかなり違っていて、あの頃はまだ、癌を本人に告知することがそれほど一般的ではなかったように思います。
医療のことは専門家でなければよくわからない面もあるのでなんとも言えませんが、
個人的には本人が強く希望した手術・治療だったのではないかな、と思います。
告知されることで、自分自身が納得の上で治療を受けられるのですよね。
⇒
告知を受けてからの気の持ちよう
この記事のカテゴリー
手術前のお話
メニューリスト
⇒
大腸がん体験記top
大腸がん体験記 手術前から手術後の生活