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黒い影は奪う、全てを

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静寂な闇の空間に、蜘蛛の巣に捕らえられる獲物を見た。オレは獲物を見た。そう、確かにオレは獲物を見たんだ。
白くて細く、どこか甘い香りのする獲物だった。
……なんだって?
オレがお前を獲物に見立てるはずが、ないじゃないか。
しかし気のせいか、段々と見える獲物は彼女にそっくりな瞳をしている。

黒い影はそんなオレを遠くから見ていた。更けた夜に浮かぶ三日月のように、俯瞰して、嗤った。
段々とオレの意識は混濁していった。動悸は激しく、視界は見目苦しく、噎せ返った。
いつもより静寂な部屋の中でのことだった。

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