黒い影は奪う、全てを [4/7] 静寂な闇の空間に、蜘蛛の巣に捕らえられる獲物を見た。オレは獲物を見た。そう、確かにオレは獲物を見たんだ。 白くて細く、どこか甘い香りのする獲物だった。 ……なんだって? オレがお前を獲物に見立てるはずが、ないじゃないか。 しかし気のせいか、段々と見える獲物は彼女にそっくりな瞳をしている。 黒い影はそんなオレを遠くから見ていた。更けた夜に浮かぶ三日月のように、俯瞰して、嗤った。 段々とオレの意識は混濁していった。動悸は激しく、視界は見目苦しく、噎せ返った。 いつもより静寂な部屋の中でのことだった。 |