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赫い糸

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夢の中、ニルはぐるりと村を見渡していた。
するとなにやら小さな身体に大きな帽子を被った生き物が、ツバの影から黄色い目を光らせ現れた。

間も無くして、また1匹側にやってきた。
彼らは外の大陸の辺鄙な土地で、人目を避けて生きる種族だった。いや、人目には映らない種族だった。
何故なら彼らの身体は存在しなかったからだ。
だが意思はあった。
人同様に言葉を交わし、突然に倒れて動かなくなった仲間を弔い、見えない涙を流すのだった。その姿は、人間によく似ていたかもしれない。

満ち月の夜。砂の塔を目指して足を揃えてぞろぞろと行進していく。
まるで機械のようだ。次から次へ尾に着いて、あっという間に長蛇の列が完成した。
彼らが去った後の村は空っぽになった。
異様に静かになった村の中、水車のガラガラ音だけが聞こえていた。

たどり着く砂の塔の頂上で、彼らは魂を捧げる儀式を行う。
浄化される様に、身包みだけがこの世に残され彼らは生まれ変わりを願う。
そんな物語だった。
本当の人間になりたいと思う、彼らの苦悩は深いのだろう。
ニルは、不憫な環境下で育った“体“温すらない彼らに、人間以上の生暖かさを感じたのだった。
そしてニルは、素敵な絵本の世界に“さよなら”と告げて、段々と遠ざかっていった。


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