赫い糸 4 [5/19] 現実との区別がつかないまどろみの中、気がつくと横たわっていた。 自肌に触れる感触は柔らかい。置かれたのは少なくとも地面ではなかった。皮の匂いがする、きっとソファーだ。 「目が覚めたか?」 声だ。男の低い声。耳触りのいい清らかな声。だが決して優しいわけではなく、その口調からは堂々とし性格が感じられた。 狭い視線の先、向かいのソファーに座った下半身が少しだけ見えた。 思ったより、声も体型も普通に見える。 イメージに力を入れていたはずの、野蛮な人物像はどこかへ消えていた。 ところが男の声に反応する気配はない。ニルは声を出せなかった。気力がなかったのだ。 そんな時、代弁するようにお腹が悲鳴をあげた。いや、もはや鳴き声を越してもう嘆きだ。 だが嘆き疲れ、聞いたことのない情けない音を立てた。 「相当食にありついてなかったみたいだな。」 「……」 「運んでいて人間を持ってる感覚になれなかった。そんな状態で脈あり息をしてるから驚かされる。」 「…………。…」 「飯を用意した。食えるか?」 無理に決まっている。 だが男は無理だと分かると、仕方ないと言って近づいた。そしてニルの肩を抱え、皿から取った固形食物をニルの口へ押し込むようにいれた。 |