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赫い糸
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現実との区別がつかないまどろみの中、気がつくと横たわっていた。
自肌に触れる感触は柔らかい。置かれたのは少なくとも地面ではなかった。皮の匂いがする、きっとソファーだ。

「目が覚めたか?」

声だ。男の低い声。耳触りのいい清らかな声。だが決して優しいわけではなく、その口調からは堂々とし性格が感じられた。
狭い視線の先、向かいのソファーに座った下半身が少しだけ見えた。
思ったより、声も体型も普通に見える。
イメージに力を入れていたはずの、野蛮な人物像はどこかへ消えていた。

ところが男の声に反応する気配はない。ニルは声を出せなかった。気力がなかったのだ。
そんな時、代弁するようにお腹が悲鳴をあげた。いや、もはや鳴き声を越してもう嘆きだ。
だが嘆き疲れ、聞いたことのない情けない音を立てた。

「相当食にありついてなかったみたいだな。」

「……」

「運んでいて人間を持ってる感覚になれなかった。そんな状態で脈あり息をしてるから驚かされる。」

「…………。…」

「飯を用意した。食えるか?」

無理に決まっている。

だが男は無理だと分かると、仕方ないと言って近づいた。そしてニルの肩を抱え、皿から取った固形食物をニルの口へ押し込むようにいれた。


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