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赫い糸

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「見ての通り外は雨だが」

「平気です、ボク雨には慣れてますから」
ニルは反射的にウソをついた。
このどんよりとした空間から抜ける事ができるなら雨など清々しくも感じれるはずだ。

「1つ聞いていいか?何故あそこにいた?」

「えっと、親とはぐれて……」

陽気な素振りでごまかして、白々しく嘘をついた。

「そうか、森道での女の一人歩きは危ないからな」

……!?
ニルは踏み出した足を、ピタッと止めた。
驚いた顔つきになって男に問いかけた。

「どうして、分かるんですか」

「………」

男は納得するように、なるほど、と言った。
自身が男装をしていることを指して言ったと思っていたニルは、そうではなかったと直ぐに気付いた。いや、ある意味そうなのかもしれない。女ではないか?という体で言い放ってる。だから、親とも自分とも言わず、両方に当てがうように《女》を使ったのだ。そして、疑問の答えを聞きもせずに造作もなく、又容易に相手に言出させた。
だが本人は小説の主人公の末路ほど、どちらでも良かった。半分、言い回しに実験を含めていたようだった。


「あえてその一人称を使うには訳がありそうだな」

「………訳…」

雨の勢いが増し、ザーッと滝のような音が、白光する窓から漏れて聞こえる。
見えない向こうの光景を、途方に迷ったかのように、想像するのだった。



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